オーストラリアでは2025年12月10日から、年齢制限の対象となるSNSに対し、16歳未満がアカウントを作成・保持できないよう「合理的な措置」を取る義務が始まりました。責任を負うのは子どもや親ではなく、プラットフォームです。

制度は、子どもを有害なコンテンツや、長時間の利用を促す設計から遠ざける防護柵になります。

それでも、禁止だけでは子どもを守り切れません。利用できる年齢になった日に、安全な判断力まで自動で備わるわけではないからです。

オーストラリアの制度は「子どもを罰する禁止」ではない

この制度は、一般にSNS禁止と呼ばれますが、オーストラリアのeSafety Commissionerは、アカウント保有を16歳まで遅らせる制度だと説明しています。16歳未満の子どもや保護者に罰則はなく、対象プラットフォームが年齢制限を実施します。

単独のメッセージアプリ、オンラインゲーム、教育や健康支援を主目的とするサービスなどは、一定の条件で対象外です。何でも一律に遮断する仕組みではありません。

制度の効果は、今後の評価を待つ必要があります。実際に利用時間や被害が減るのか、別のサービスへ移るのか、孤立しやすい子どもへどんな影響が出るのか。2026年時点で、eSafetyは制度の包括的な評価を進めています。

強い制度ほど、成果と副作用を分けて観測する必要があります。

年齢制限で得られるのは、学ぶための時間である

規制の価値は、子どもをデジタル社会から永久に遠ざけることではありません。リスクの高い環境へ一人で入る時期を遅らせ、その間に必要な能力を育てることです。

公開範囲を選ぶ。知らない相手からの接触を断る。なりすましを疑う。不快な投稿をミュート、ブロック、通報する。個人情報が写真の背景にも写ると知る。感情が動いた直後には拡散しない。

こうした行動は、利用規約を一度読ませるだけでは身につきません。小さな場面を使い、大人と練習する必要があります。

OECDの子どものデジタル環境に関する勧告も、安全を確保するだけでなく、子どもの参加とエンパワーメントを支える視点を含んでいます。

家庭のルールは、監視表ではなく判断手順にする

家庭で「一日何分」「夜何時まで」と決めることには意味があります。ただ、時間だけでは、危険な接触や誤情報への対応は教えられません。

ルールを、禁止事項の一覧から判断の手順へ変えます。

  • 公開する前に、誰まで見られるかを確認する
  • 知らない相手から連絡が来たら、一人で返さない
  • 顔、学校、位置、予定が組み合わさる投稿を避ける
  • 強い怒りや不安を感じた投稿は、その場で共有しない
  • 困ったときに、画面を見せられる大人を決めておく

親がすべてをのぞくのではなく、子どもが助けを求めても叱られない関係をつくることが重要です。失敗を隠すほうが安全だと思わせれば、監視はかえって発見を遅らせます。

安全と参加は、どちらか一方ではない

SNSには、いじめ、性的な接触、詐欺、偽情報、プライバシー侵害などのリスクがあります。同時に、同じ関心を持つ人と出会い、作品を届け、社会の出来事へ参加できる場でもあります。

子どもを守ることと、参加する力を育てることを対立させてはいけません。

「SNS禁止は子どもを守らない」というタイトルは、規制を否定するためのものではありません。規制だけに教育の仕事まで任せない、という意味です。

防護柵をつくる。その内側で判断を練習する。利用を始めた後も、困った経験を話せるようにする。三つがそろって、安全は継続します。

今日からの一つの行動

子どもと一緒に、実際に使うサービスの「ブロック」「通報」「公開範囲」の場所を一度だけ確認してください。まだSNSを使っていない場合も、保護者の画面で手順を見せます。

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