子どもの将来を考えて、プログラミング教室を探す家庭が増えました。画面の中でキャラクターを動かし、ゲームを完成させる姿を見ると、デジタルに強くなったように感じます。

コードを書く経験には価値があります。ただし、命令をまねて作品を完成させるだけでは、別の問題に応用できません。

プログラミングを習わせる前から育てられる力があります。問題を分け、共通点を見つけ、機械に任せられる手順へ変える力です。

コンピューターは、曖昧な指示を補ってくれない

人に「部屋をきれいにして」と頼めば、相手は状況を見て、服を畳み、ごみを捨て、机を拭くかもしれません。

コンピューターへ同じ言葉を渡しても、何をきれいと呼ぶのか、どの順番で処理するのか、例外をどう扱うのかが定義されていなければ動けません。

必要なのは、難しい記号を覚える前に、曖昧な仕事を観察可能な手順へ分けることです。

「散らかった服を集める」「洗う服と戻す服を分ける」「戻す場所がなければ一時箱へ入れる」。この分解は、家庭でも練習できます。

分解・抽象化・自動化が、道具を替えても残る

計算機科学者のジャネット・ウィングは、コンピュテーショナル・シンキングを、コンピューター科学の考え方を使って問題を解く力として説明しました。文部科学省も、小学校のプログラミング教育で、意図した活動を実現するために必要な動きの組み合わせや改善を論理的に考える力を重視しています。

土台になる考え方は三つです。

  • 分解:大きな問題を扱える単位へ分ける
  • 抽象化:細部を外し、共通する型を見つける
  • 自動化:決めた手順のうち、機械に任せる部分を選ぶ

使用する言語やアプリは変わっても、この三つは残ります。

AIの時代ほど、仕事を説明する力が要る

生成AIは自然な文章で指示できます。そのため、プログラミングの知識がなくても、文章や画像、簡単なコードを作れるようになりました。

しかし、曖昧な依頼から出る結果も曖昧です。

「旅行計画を作って」ではなく、参加者、予算、移動時間、避けたい条件、確認すべき最新情報を渡す。「この文章を直して」ではなく、読者、目的、残す事実、変えてはいけない表現を示す。

AIへ任せる仕事を分解し、出力を確かめ、必要なら手順を直す。この能力は、コードを書く人だけのものではありません。

教室選びでは、完成品より説明を聞く

体験教室では、子どもが華やかな作品を作れるかだけでなく、次の場面を見てください。

先生が答えをすぐ渡さず、どこで予想と違ったかを聞く。子どもが自分の手順を説明する。動かなかった原因を一つずつ切り分ける。作ったものを別の条件でも試す。

こうした時間があれば、プログラミングは思考の練習になります。完成だけを急ぎ、見本どおりに並べて終わるなら、操作の記憶で止まりやすくなります。

「習わせる前に」は、教室へ行かなくてよいという意味ではありません。学ぶ目的を、早くコードを書けることから、問題を機械と一緒に解けることへ変えるという意味です。

今日からの一つの行動

毎日の作業を一つ選び、子どもに「初めてやる人にも通じるよう、五つ以内の手順で説明して」と頼んでください。実際にその手順どおり動き、抜けた条件を一つ見つけます。

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