2026年9月1日、Tim Cookは約15年務めたAppleのCEOを退き、エグゼクティブ・チェアマン(会長)へ移ります。Appleを去るわけではありません。次のCEOは、ハードウェアエンジニアリングを率いてきたジョン・ターナス(John Ternus)です。
この節目に、2017年から残してきたCookの取材録を読み返しました。同時に、取材の際に撮影した写真も見直してみました。この記事では、その中でもお気に入りの数枚を掲載したいと思います。

2017年1月に「#アップルノート」を始めたとき、僕は「目指すは、ティム・クック氏へのインタビュー」と書きました。その目標は2019年12月、来日中のCookにプログラミング教育について質問したことで実現しています。
ただ、いま読み返して強く残ったのは、CEOへ質問できたという達成感ではありません。製品名よりも繰り返し現れる言葉でした。
People。Creativity。そして、Passion。

2025年、日本のアプリ開発者と交流したCookは、OSとハードウェアが作り手に使われる姿を見て、 “It makes my heart sing” と話しました。心が歌い出すような気持ちになる、と。
僕はそこで、日本でiPhoneの人気が高いことと、優れたアプリ開発者が集まることの関係を尋ねました。Cookは二つの間に “symbiotic relationship”、共生関係があると答え、次の言葉を続けました。
“We love to see people follow their passion. That’s why we do what we do.”
人々が自分の情熱を追う姿を見るのが好きで、そのためにこの仕事をしている。
この言葉を手がかりにすると、2017年に若宮正子さんのアプリで文字サイズを尋ねたこと、2019年にコード教育を肯定したこと、2022年に熊本の小学校で子どもたちの表現と協働を見たことが、一本につながります。

僕の暫定的な見立ては、Cookの15年は、他者の情熱が製品や仕事になる条件を、Appleの巨大な仕組みにした15年だった、ということです。
ただし、話は美談だけでは終わりません。
App Storeは個人や小さなチームを世界へつなぎました。一方で、配布、審査、課金の条件をAppleが握る場でもあります。「共生」は互いを強くする関係であると同時に、場を持つ側と参加する側の力の差を含む言葉です。
noteの本記事では、直接の回答、同行取材で得たコメント、目の前で観察した会話、公開スピーチを分けながら、2017年から2026年までの取材録をたどりました。そして、Cookが残した仕組みを次のAppleがどう更新できるのかまで考えています。
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