iU大学のウェブサイトへの掲載、またITmediaのニュースにある通り、2027年からiU大学は、「AI入試」を導入します。
iU大学のニュース

ITmediaニュース

大学を丸ごとAI対応する、と言うミッションのタスクフォースに属している私から、今考えていること、導入の経緯、今後の展開などを含めて、少し補足できれば、と思います。
公式なリリースなどは、また追って、ご紹介できることになると思います。
AIが当たり前のiU大学の学びの風景
そもそも、大学生はAIを使っているのか?
答えはYes。全員使っています。
学生によっては、月に1度、飲み会をキャンセルし、AI課金しているほどです。
ちなみにGeminiがGoogle AI Proを学生向けに12ヶ月無償で提供するプランを紹介しており、教員も学生同士でも、「絶対登録せよ」と口をすっぱくして広めていたぐらいです。
※今回の登録期限は2025年10月6日、学生の皆さんの登録はお早めに。
また、どんなAIを使っているのかについては、MID Lab.(松村太郎研究室)で調査していますので、また結果をシェアしたいと思います。
生成AIの登場は、学びの前提を根本から変えました。
情報を探す・まとめる・試作する、といった“作業”の多くはAIが担い、私たち人間は「問いを立てる」「価値を定義する」「倫理と責任を引き受ける」へと重心を移します。
学生同士、グループで議論を重ねる。その結果をAIにぶつけてまとめてもらい、プランを練り上げる、ビジュアル化する、アウトプットにする。
これまでアクティブラーニングを主体に行ってきたiUの授業に、AIは自然に入り込み、あらゆる質的向上に寄与してくれています。
iU大学がめざすAIと教育と次世代人材の姿の一端を見た一方で、まだ見ぬ可能性、起きつつある問題などについて、もっと深く考えなければならないと思っています。
問題意識:AIが“使える”だけでは、社会価値にならない
そもそもAIを使いこなせなければ、圧倒的なレベルさと効率さについていけなくなることは目に見えていますが、それはツールの使いこなしにすぎません。
どうしても、AIの使いこなしにフォーカスが行きがちですが、残念ながら、それだけで社会価値にはならないと思います。ツールが使えるだけですから、競争優位性にもなりませんし、それこそAIエージェントに仕事を奪われる変わる可能性が高いです。
そこで、iUは専門職大学として、どんなAIとの関わりが必要になるのか考えてみたときに、次の3つが軸になるのではないか?と考えました。
- 適切な問いを設計する力(課題定義・要件化)
- AIの出力を検証し責任を持って意思決定する力(評価・根拠・再現性)
- その成果を社会実装する力(顧客価値・法務・倫理・ガバナンス)
この三位一体で初めて、仕事の成果になり、社会的価値を帯びるのではないか、と思います。
AI導入で、学生たちは猛勉強を迫られる
じゃあ学生は勉強しなくなるのか?と言われると、その真逆のことがiUでは起きていました。
つまり、上の3つの軸の2番目に関する実際、です。
AIが出してきた結果を理解し、良し悪しを判断するためには、自分がその知識として理解したり、経験していたりしなければなりません。
だから、学生たちは猛勉強をするのです。AIが出してくる知識に追いつかなければならないので、教員もそれに評価を下すために、猛勉強します。
正直、しんどいです、AIが前提の学習環境は…。
厳しすぎる可能性ももちろんあるのですが、AI入試は、そうした猛勉強をしてきたか?あるいはこれからしていくことができるのか?と言う部分も、場合によっては判断しなければならないのではないか、と思うのです。
今後の雇用環境・人材不足・AI時代に残る仕事の予測
世界では、2030年までに約1億7千万の新規雇用が生まれる一方で、約9,200万の職務が置き換わるとされ、必要スキルの39%が2030年までに変わる見通しです。(世界経済フォーラム)
再スキル化・越境学習の投資がグローバルに拡大しています。 
日本固有の課題としては少子高齢化に伴う労働力制約に加え、IT人材の恒常的な不足が続きます。経産省の需給試算では、2030年に最大数十万人規模のIT人材不足が生じ得ると指摘され、産業全体での生産性向上と人材育成の急加速が不可欠です。(経産省資料)
ではAI時代に“残る/伸びる”仕事は何か。
世界経済フォーラムの最新分析では、AI・機械学習の専門家、ビッグデータ関連、ソフトウェア開発など技術中核の役割が伸長する一方、ケア(看護・福祉)、建設、配送、食料加工、店舗販売など社会基盤を支える職種も、人口動態やグリーントランジションの波で大きく増えると示されています。
さらに、コールセンター等では大規模人員から“AI監督・運用の少数精鋭”への職務転換が進むなど、AIの運用・監督・評価・安全管理といった“人間の判断を核に据える仕事”が新たに立ち上がっています。
重要なのは、仕事そのものが消えるのではなく、仕事の中の“タスク構成”が組み替わる点です。ILOの分析も、生成AIの影響はタスク単位の補完と置換の組み合わせとして現れ、政策・訓練の設計しだいで雇用の質に差が出ると指摘します。 
将来の人材市場から逆算した「専門職大学」としてのAI教育
将来の人材需要を踏まえると、専門職大学のAI教育は“現場実装で通用する統合能力”に焦点を合わせるべきです。iUでは次のような設計が求められると考えました。
- AIリテラシー&プロンプト設計:情報源検証、根拠の可視化、再現性を伴うプロンプト運用。
- データ×AI実装(基礎~応用):API活用からプロトタイプ作成、MLOps・評価指標・監査ログまで。
- ビジネスデザイン×AI:顧客課題の定義、価値仮説検証、単価設定・コスト構造、PMFの実験設計。
- AIガバナンス・著作権・プライバシー:法務・倫理・説明責任・セキュリティを横断する意思決定。
- PBLの全面AI化:要件定義→生成→検証→改善の反復を全科目に内蔵し、プロジェクト実践演習で社会接続。
- 600時間の臨地実務実習のアップデート:AI日報(プロンプト・出力・根拠・判断)で学習履歴を可視化し、企業側評価と直結。
- 英語×グローバル連携:英語でのピッチとドキュメンテーション、国際標準・倫理フレームの理解。
- 評価の刷新:知識テストだけでなく、AI活用ログ+成果物+反省レポートで学修成果を多面的に保証。
この骨格は、iUが掲げるICT・ビジネス・グローバルの横断と実践優位に自然に重なります。
入口の生成AI活用型選抜で学修ポテンシャルを可視化し、在学中はPBLと実務実習で「AIと共創する力」を鍛え、出口では職務能力単位(マイクロクレデンシャル)で証明する――入口・学修・出口の三位一体が、逆算型の専門職教育です。
幸福経営における「君はどう生きるか?」にAIのサポートを活用したい
MID Lab.(松村太郎研究室)では、働き方改革関連法案への対応や人的資本経営への対応を調査・研究・提案する「iU組織研究機構」と言うプロジェクトも走っています。
この中で、現在スタートアップから上場企業まで、法令遵守の先にある「幸せな会社」の姿についての研究と実践を展開しています。
ここで重要になるのは、企業と社員がパートナーのようになり、企業の実現と社員の自己実現をどう両立していくか?と言う課題に対して、答えを探しているところです。
つまり、企業の幸福経営化をどのように実現するか?その方法論について考えよう、と言うのが今年のテーマなのです。
AI武装の目的も、単に競争力ある人材になることを目指すだけではなく、学んでいる学生が将来にわたって幸せに生きることができるか?と言うことに、徹底的にこだわりたい、と思っています。
学びを、雇用の未来から設計する
雇用の地殻変動は、私たちの学びの“設計思想”を問い直します。
仕事は消えるのではなく、タスクが組み替わる――だからこそ、AIと人の役割分担を前提にした統合スキルが決定的です。
iUは、選抜→学修→実務→就業の全行程をAI時代仕様へと再設計し、次世代のイノベーターを社会に送り出していきます。
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