次回、渋谷サクラステージゼミは、6月16日 19時開催です。以下のボタンから、お申し込み頂けます。
その前編、前哨戦として、gori.meのg.O.R.iさんと、WWDC26の現場から今回の内容を掘り下げたトークをYouTubeで公開しました。
今回のWWDC26の輪郭と見所
WWDC26の現地取材も、ようやく頭の中で輪郭が見えてきました。
基調講演を見て、ブリーフィングを受けて、会場でいろいろな人と話していると、発表直後の「新機能まとめ」だけでは見えないものが少しずつ浮かび上がってきます。
今年のWWDC26は、単に「AppleがAIを強化した」という話ではありませんでした。むしろ、Appleがこれからのデバイス、OS、アプリ、そしてユーザー体験をどう組み替えようとしているのか。その手がかりが、かなり濃く出ていたイベントだったと思います。
今年のApple AIは、「チャットボット」ではなく「道具」になった

今回のトークで最初に大きな論点になったのは、AppleのAIの見え方です。
AIというと、どうしてもChatGPTのようなチャット画面を思い浮かべます。質問を入力し、答えを受け取る。調べ物をする。文章を書いてもらう。相談する。
しかし、AppleがWWDC26で示した方向性は、そこから少し違います。重要なのは、AIがアプリの中、OSの中、ショートカットの中に入り込んでいくことです。たとえば、これまでショートカットは「便利そうだけど、設定が難しい」存在でした。条件分岐を考え、処理を組み合わせ、思った通りに動かすには、ある程度プログラミング的な考え方が必要でした。
ところが、今回のApple Intelligenceの進化によって、「こういう時に、こうしてほしい」と自然な言葉で頼むだけで、ショートカットを組み立てられる可能性が見えてきました。
これは、単なる自動化機能の改善ではありません。
ユーザーが、自分の生活や仕事の小さな不便を、自分で直せるようになるということです。開発者だけでなく、普通のユーザーが、自分専用の小さなアプリや道具を作る時代に近づいています。
Appleらしいのは、それを「AIアプリを開いて使ってください」とは言わないところです。必要な場所に、必要な形でAIが現れる。これは、Appleが考えるAIのかなり重要な思想だと思います。
「SiriはGeminiになる」のではない
もうひとつ、今回のWWDC26で誤解されやすいポイントが、Googleとの関係です。
AppleがGoogleのGeminiを活用している、という話だけを聞くと、「SiriがGeminiになるのか」「Apple IntelligenceがGoogleのAIに置き換わるのか」と受け取られがちです。しかし、現地で確認していくと、話はもう少し複雑です。
Appleが使うのは、あくまでApple Foundation Modelsです。Googleの協力によってモデルを強化している部分はありますが、ユーザーがiPhoneやMacでApple Intelligenceを使う時に、その処理がそのままGeminiとして動いている、という話ではありません。
AppleはAIの性能だけでなく、プライバシー、デバイス上での処理、Private Cloud Compute、開発者への提供方法をひとつの設計として組み立てています。外部のAIモデルをただ接続するのではなく、自社のOSとデバイス体験にどう統合するかを重視しているわけです。
そして大きいのは、ユーザーにとっても開発者にとっても、かなり多くのAI機能が追加料金なしで使える方向にあることです。
これは、アプリ市場にとって大きな意味を持ちます。
これまでAIアプリを作るには、開発者が大規模言語モデルのAPI利用料を負担し、それをサブスクリプション料金としてユーザーに転嫁する必要がありました。しかし、Apple Foundation Modelsを使ったAI機能が無料で実装できるなら、AIを活用した無料アプリ、低価格アプリ、買い切りアプリが一気に増える可能性があります。
今回のWWDC26は、「AI機能が増えた」というニュースではなく、「AIアプリの経済構造が変わるかもしれない」というニュースでもあります。
スマートグラスや折りたたみiPhoneのヒントは、発表されていない場所にある
もちろん、皆さんが気になるのはそこだと思います。
スマートグラスはどうなのか。折りたたみiPhoneはどうなのか。タッチ対応Macは来るのか。Apple OSのような統合基盤はあり得るのか。
Appleは当然、将来の未発表製品について明言しません。これはいつものことです。
ただし、OSの新機能や開発者向けの仕組みを見ていると、将来のデバイスを成立させるための基盤が整いつつあることは感じられます。
たとえば、写真の空間認識やリフレーミングの進化です。これは単に「写真をあとからいい感じに直せる」という話に見えます。しかし、その裏側では、デバイス上で空間を認識し、被写体や奥行きを理解し、画像を再構成する処理が行われています。
この能力は、スマートグラスに直結します。
カメラ付きのグラスが周囲を認識し、ユーザーに必要な情報を返す。その時、毎回クラウドに問い合わせていたら、速度、コスト、プライバシーの面で成立しません。デバイス側で環境を理解できるAI基盤が必要になります。
WWDC26で見えたのは、Appleがその土台をかなり本気で整え始めているということでした。
折りたたみiPhoneやタッチ対応Macについても同じです。
iPhone、iPad、Macの境界は、年々あいまいになっています。iPadアプリのウィンドウ操作、Macとの連携、Sidecar、タッチ入力、マルチタスク。これらを見ていくと、「これはiOS」「これはiPadOS」「これはmacOS」と分けること自体が、少しずつ古くなっているようにも見えます。
もちろん、すぐに全部がひとつのOSになる、という単純な話ではありません。
しかし、AppleがデバイスごとのOSを並べて進化させる時代から、共通するAI基盤、共通する体験、共通する操作感を中心に再設計する時代へ向かっていることは、かなりはっきり見えてきました。
現地で話すと、発表内容の「温度」が変わる
今回の動画では、goriさんとかなり率直に話しています。
基調講演の印象、AppleのAIの見え方、開発者との関係、Geminiに関する誤解、無料で使えるAIのインパクト、写真機能の進化、スマートグラスや折りたたみiPhoneの可能性、そしてApple OS的な未来。
現地で見ていると、発表スライドだけではわからない「温度」があります。
会場の盛り上がり、Apple幹部の言葉の選び方、ブリーフィングでの説明の粒度、開発者向けにどこまで道具を開いているのか。そうした細部をつなぐと、今回のWWDC26はかなり重要な転換点だったように思います。
動画では、そのあたりをgoriさんと一緒に、現場の空気を含めて話しています。
まずは、6月10日13時公開の動画をご覧ください。
6月16日、渋谷でWWDC26報告ゼミを開講します
そして、この話には続きがあります。
WWDC26の現地リポートを、さらに深く、リアルな場でお届けするイベントを開催します。
2026年6月16日、渋谷サクラステージ 7F Business Airportにて、「松村太郎のWWDC26報告ゼミ」を開講します。
ゲストは、今回の動画にも登場しているgori.me管理人のg.O.R.iさんです。
現地で見てきたこと、感じたこと、動画では話しきれなかった裏側、そして発表内容から見えてくる将来のAppleデバイスについて、じっくり振り返ります。
WWDC26の発表内容を追いかけた方はもちろん、Apple Intelligence、Siri、iPhone、Mac、iPad、Vision Pro、スマートグラス、折りたたみデバイスの行方が気になる方にも、かなり濃い時間になると思います。
現地で得た情報を、そのまま持ち帰るだけではなく、「今回のWWDC26は何を意味していたのか」を一緒に考える場にしたいと思っています。
イベント概要
WWDC26 産地直送の現地リポート、渋谷でリアルイベント決定!
松村太郎のWWDC26報告ゼミ
日時:2026年6月16日(火)19:00〜
会場:渋谷サクラステージ 7F Business Airport
ゲスト:gori.me 管理人 g.O.R.i 氏
参加費:無料
内容:WWDC26現地リポート、発表内容の振り返り、Apple Intelligence、Siri、将来のAppleデバイスについてのトーク
聴講・入場無料です。ご参加登録はこちらからお願いします。
WWDC26の発表を、単なる新機能の一覧として見るのか。それとも、Appleが次の10年のデバイス体験をどう作ろうとしているのか、その入口として見るのか。今回のイベントでは、後者の視点から、goriさんと一緒に話していきます。
6月10日の動画で予習していただき、6月16日はぜひ渋谷でお会いしましょう。