Bloombergによると、TeslaがCarPlay対応を開発中と伝えています。今後数ヶ月以内に、ワイヤレス接続でTesla車とiPhoneが連携するようになるとのこと。
Tesla乗りのiPhone使いとしては嬉しいニュースである一方で、単なるCarPlay対応なら「わざわざ使わない」というのが第一印象。
AppleとTeslaを巡る複雑な関係

Teslaは、そのソフトウェア実装力からして、CarPlay対応は「容易いこと」だったはず。
しかし今の今までサポートしてこなかったのは、Appleが独自に自動車開発をしており競合となり得ること。また実際にTeslaのUIの方がCarPlayよりも優れているという自負があったこともあるかもしれません。
ただ、ここに来てサポートするという情報が出てきたのは、CarPlayが車種選択の重要な機能の1つになってきたことがあるのではないか、と思いました。
CarPlayユーザーは米国で5640万人と、無視できない規模に

多くの自動車メーカーがCarPlayとAndroid Autoに対応し、手元にあるスマートフォンとの連携を担保する機能を盛りこんできました。Teslaとしては、この層へのアピールを仕掛ける意味がある、と踏んだのではないでしょうか。
国ごとにCarPlayのアクティブユーザー数を推計してみます。
米国では約2億4000万人のドライバー数、40%のCarPlay/Android Auto搭載率、iOSシェア58.8%からすると、約5640万人がCarPlayを使っています。

英国で同様の推計をしてみると、約1000万人。日本では630万人。

Tesla車はCarPlay非対応ですから、この人数規模がまるごと、非Teslaユーザーであり、CarPlay対応で今後、Teslaリーチ可能なターゲットになります。
CarPlay対応を開発することで、世界で1億人弱のドライバーを、Teslaオーナーとして迎える可能性が生まれる……。ならばUX云々は差し置いて、マーケティング的に、対応すべき、という判断が正しいと思いました。
単にCarPlay対応なら「いらない」

しかし、現役TeslaユーザーでありiPhoneユーザーである私からすれば、おそらくTesla車が単なるCarPlay対応を果たしても、「使わない」と思います。
それぐらい、現状のTeslaのUI・UXは、人間をダメにするほど自動化か進んでいて優れていると感じるし、iPhone連携も十分果たされていると評価しています。
まずTeslaのナビはGoogleマップと各国のローカルデータの合わせ技で、正確な航続距離の計算から、途中の充電スポットの立ち寄りも自動設定してくれます。移動計画が立てやすいため、満足しています。
そもそも、TeslaのUXには、ネイティブアプリとして、Apple Music、Apple Podcast、Spotify、Amazon Audibule、YouTube Music、TuneInといったオーディオ系のアプリケーションが揃っており、ログインすればiPhoneなしでもそのまま利用可能。
また、古典的な通話対応はもちろんのこと、電話帳を同期すれば、ワンタップでお気に入りの連絡先に通話できるし、着信時の名前表示にも対応。
さらにメッセージ連携では、届いたTest(SMS)だけでなく、iMessageも読み上げてくれて、音声で返信も可能。
カレンダー連携をONにすると、予定をスクリーンで表示でき、自動ナビをONにすれば、次のスケジュールの位置情報に自動的にナビをセットしてくれる仕組みになっています。
これぐらいこなしてくれれば、CarPlayに対応していなくても、機能的には十分。
なので、単なるCarPlay対応なら、実現しても、物珍しさで最初だけ使うかもしれないが、おそらく常用では使わないだろうな、と思います。
CarPlayの現状

CarPlayはすでに800車種以上で対応しており、米国では成人の40%が、CarPlay/Android Auto搭載車を主に所有し、83%のユーザーが常用しています。

またAppleは既に次世代版CarPlay Ultraを発表済みで、対応車種も出始めています。

最初の実装はAston Martinで、iPhone 12以降+iOS 18.5以降を条件に、センターディスプレイに留まらずメータークラスターや複数ディスプレイまで広がる体験を提供します。
しかし、メルセデス、アウディ、ボルボ、ルノーなどのメーカーはCarPlay Ultraに慎重な姿勢。
簡単に言えば、クルマの体験やブランド保持、データ活用で、Appleに主導権を渡したくない、という意向が見えます。
しかしスマートフォンが当たり前のユーザーとの連携をどうするか考える必要があるという、自動車メーカーにとっては難しい課題でもあります。
欧州勢の一部はGoogle(Android Automotive+Gemini等)や自社スタックを強化し、サブスクやコネクテッド・サービスの直販を狙う動きが継続しており、米国でもGMが独自の開発へ切替、CarPlayを段階的にやめていく方針となっています。
Appleは高い満足度・利用率を武器に、消費者側からの需要で採用拡大を迫る構図です。 

CarPlay Ultraなら使いたいが……

冒頭のBloombergによると、TeslaのCarPlay対応は、画面の中にCarPlayウインドウを表示させる標準対応になるとみられており、本当に「CarPlay対応」をうたうだけのサポートになってしまいそう。
だとするとつまらないし、やっぱり使わないでしょう。かといって、15インチ以上の巨大画面に、3段になったとしても、巨大なアプリアイコンが並ぶホーム画面なんて見たくない。
なので、ユーザーの期待としては、踏み込んで、Tesla × CarPlay Ultraは見てみたい。
実装のリアリティ:CarPlay Ultraで「API的にできること」

CarPlay Ultraは「車載OSまるごと置換」ではなく、車両側システムとiPhoneが役割分担して複数ディスプレイにわたるUIを合成するアーキテクチャ。
OEMのブランド表現を保ちながら、計器・空調・ラジオなどのコア機能UIをCarPlayのデザインシステムで統一できる仕組みを提供します。
このなかでやはり通知や、Live Activities、ウィジェットなどを持ち込めるようになる点は、iPhoneとの連携が深まるため、TeslaのUXや単なるCarPlayよりも使いたくなる動機がグッと高まります。
また標準のTeslaのUXにはない、メータークラスターなどのカスタマイズされた表示をサポートしてくれるなら、これもまたCarPlay Ultraを使う魅力になっていきます。
実際、Teslaのモバイルアプリは、iPhone上では、充電などのLive Activitiesをサポートしており、こうした情報もCarPlay Ultraでキレイにデザインされて表示してくれるなら、かなり魅力的ではないか、と思いました。
果たして、どうなるか。



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