iPhoneの2026年モデルの発表を前に、スマートフォン市場、iPhone、そして各種機能について総ざらいする集中講義的シリーズ。他の記事は、「iPhone2026」タグからご覧ください。

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今回のテーマは、iPhoneは売れているのか?について追いかけます。

iPhone 16は売れたのか。それとも、売れなかったのか。

Counterpoint Researchは、iPhone 16を2025暦年に世界で最も売れたスマートフォンと推計しました。一方、発売直後の2024年10〜12月期に、AppleのiPhoneカテゴリー売上高は前年同期比0.8%減っています。

二つの数字は矛盾しているように見えます。しかし、期間と分母を確かめると、同時に成立しても不思議ではありません。この違いを理解すると、次のiPhoneについて出てくる「好調」「不振」という見出しを、自分で読み解けるようになります。

「世界首位」は第三者によるsell-through推計です

最初に確度をそろえます。iPhone 16の世界首位は、Counterpoint Researchによる第三者推計です。対象は2025年1〜12月に消費者へ販売された台数、つまりモデル別のsell-throughです。

AppleはiPhoneのモデル別販売台数を開示していません。したがって「AppleがiPhone 16の世界首位を発表した」のではありません。また、販売店への出荷やAppleの売上金額とも異なる指標です。

一方、0.8%減はAppleが開示した決算数値です。2024年10〜12月期のiPhoneカテゴリー売上高は691億3,800万ドル。前年同期の697億200万ドルから減少しました。ここには標準16だけでなく、16 Pro、16 Pro Max、発売を継続していた旧世代も含まれます。

世界首位は2025暦年の一モデルの推計台数。0.8%減は2024年10〜12月期のカテゴリー全体の売上金額です。同じ期間でも、同じ分母でもありません。

台数が多くても、売上高が増えるとは限らない

売上高は、おおまかにいえば販売台数と平均単価の掛け合わせです。ただし実際の決算には、販売した地域、機種構成、為替、販売時期などが影響します。

標準モデルが広く売れても、より高価なPro/Pro Maxの構成比が下がれば、平均単価は伸びにくくなります。価格水準の低い地域の比率が上がった場合も同様です。反対に台数が横ばいでも、上位モデルが多く売れれば売上高は増えます。

FY2025第1四半期には、中国を含む大中華圏のApple売上高が前年同期比11%減りました。これはiPhone 16単体の原因を示す数字ではありませんが、標準モデル一機種の人気だけでは、会社全体の売上高を説明できないことを示します。

iPhone 16は「AIを使える土台」を広げた世代

iPhone 16の標準モデルにはA18が搭載され、Apple Intelligenceへ対応しました。アクションボタン、カメラコントロール、マクロ撮影も加わりました。一方で画面は60Hz、最低容量は128GB、USBの転送速度はUSB 2相当のままでした。

しかも発売時点では、日本語のApple Intelligenceを利用できませんでした。16の価値は、購入直後の体験を全面的に変えるというより、標準モデルまで将来のAI機能を利用できる土台を広げたことにあります。

これは長く使う人には意味のある更新です。しかし、すでに日常の不満が少ない人にとって、将来価値だけで買い替えを決めるのは難しかったとも考えられます。ここは分析であり、0.8%減の原因をAIや仕様だけに帰属させることはできません。

次のiPhoneは「どのモデルが売れたか」まで見る

iPhone 17世代では、標準モデルに最大120HzのProMotionと常時表示が入り、最低容量が256GBになりました。AIの将来価値だけでなく、画面、容量、撮影、電池という購入直後から感じやすい差が増えました。

その発売直後の2025年10〜12月期、AppleのiPhoneカテゴリー売上高は前年同期比23.3%増えました。ただし、Appleは17のモデル別台数を開示していません。この伸びを120Hzや容量だけの効果と断定することもできません。

発表後に見るべきなのは、三つの数字を分けることです。モデル別の人気を見る推計販売台数、Appleの事業規模を見るカテゴリー売上高、そして価格構成を見る平均単価です。

「世界首位」は強い事実に見えます。しかし、何を数えた首位かを確認しなければ、製品の価値も事業の強さも正確には読めません。次のiPhoneでは、人気モデルの名前だけでなく、標準とPro、旧世代がどんな構成で選ばれたのかまで追う必要があります。

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