いよいよ、iPhoneの発表タイミングまで2週間となりました。カレンダーを見ると、9月7日は米国のレイバーデーのお休みであることから、9月8日(米国時間)の発表が濃厚だと見ています。現在のスマートフォン市場、iPhoneの動向、スマホの主要機能の現在について振り返る、iPhone発表イベントの予習となる集中講義的なシリーズをスタートします。

噂ではなく理詰め、憶測ではなくデータで、様々な角度から見ていきますので、ぜひフォローください。

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スマートフォンが売れなくなるのに、市場の金額は増える。IDCが2026年5月に公表した予測は、一見すると矛盾しています。

IDCは2026年の世界スマートフォン出荷を10億9,000万台、前年比13.9%減と予測しました。一方、平均販売価格は2025年より100ドル高い過去最高の550ドル、市場金額は3.8%増えるとの見通しです。

これは2026年の実績ではなく、5月時点の予測です。今後、部材供給や地政学などの前提が変われば改定されます。そのうえで、この数字が示す構造は見逃せません。

市場金額の増加は「好景気」とは限らない

台数が減り、平均価格が上がれば、市場金額は増えることがあります。ただし平均価格の上昇は、消費者全員が上位モデルを選ぶようになったことを意味しません。

メモリーなどの部材価格が上がると、低価格モデルほど影響を受けます。たとえば同じ10ドルの原価上昇でも、1,000ドルの端末より150ドルの端末の方が、価格や利益率への影響が大きくなります。

メーカーには、値上げする、容量やカメラなどの仕様を抑える、販売地域を限定する、機種そのものを減らすという選択肢があります。いずれの場合も、十分な機能を持つ安い端末は見つけにくくなります。

タイトルの「安い端末が選びにくくなる」は、すべての廉価機がなくなるという意味ではありません。同じ価格で得られる仕様が下がったり、選べるモデルが減ったりすることを含みます。

高級機の需要増と、安価な選択肢の縮小は同時に起きる

もちろん、自分から高価格モデルを選ぶ需要も伸びています。Counterpoint Researchによると、卸売価格600ドル以上のプレミアムスマートフォンは、2026年上期の世界実売が前年同期比5%増え、市場全体の29%を占めました。同価格帯の65%をAppleが占めたと推計されています。

上位モデルを選ぶ際には、カメラ、電池、処理性能に加え、ソフトウェアの更新期間、中古残価、分割払いと下取りも判断材料になります。数年使うなら、初期価格が高くても年間コストを抑えられる場合があります。

一方、安価な端末が減って構成比が上がることと、上位モデルの価値を認めて積極的に選ぶことは別です。ここを一緒にすると、市場金額の増加を消費者の豊かさや満足の増加と誤読します。

AIは販売機能であると同時に、端末コストでもある

Counterpoint Researchは、生成AI対応スマートフォンが2026年の世界出荷の45%を占めると予測しています。しかし、これはAIを理由に買い替える人の割合ではありません。AIを動かせる端末の出荷比率です。

端末内でAIを処理するには、高性能なチップと一定量のメモリーが必要です。AIは新しい利用価値になり得ますが、ハードウェア要件を上げ、低価格モデルを作りにくくする要因にもなります。

次のiPhoneで「AI対応」が示されたら、対応の有無だけでは足りません。既存機でも使えるのか、新機種固有の処理が必要なのか。通知、検索、撮影、翻訳などの手数を実際に減らすのか。追加コストに見合う利用頻度があるのかを見ます。

日本では、最新機の競合が中古と旧世代になった

日本の新品スマートフォン出荷は2025年度に3,132万8,000台、前年度比4.3%増でした。しかしMM総研は、2026年度を2,915万台、7.0%減と予測しています。

一方、中古スマートフォン販売は2025年度に360万7,000台、12.4%増で、7年連続の過去最高でした。新品と中古を合わせた販売に占める中古比率は10.3%です。

価格が上がれば、最新iPhoneは最新Androidだけでなく、値下げされた旧世代iPhoneや中古のProモデルとも比較されます。前世代や中古でも、同じiOSとサービスの環境を引き継ぎやすいためです。

買い方の起点は「最安」ではなく「必要条件」です

安い端末が見つかりにくい市場で、最初から機種名を決めると、メーカーが作った価格階段に沿って上位モデルへ引き上げられやすくなります。

先に、必要な容量、カメラ、電池、OSの利用期間、AI対応、修理や補償を決めます。その条件を満たす最も安い選択肢を、新品の現行機、併売される旧世代、認定中古や一般中古から探します。

市場金額が増えることと、自分が多く払うべきことは別です。2026年の発表会では、新機種の最高性能だけでなく、Appleが旧世代をどの価格で残すのかに注目したいところです。安い端末が減る時代ほど、「自分に必要な最低条件」を先に決めることが、価格上昇から選択権を守ります。

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