iPhoneの2026年モデルの発表を前に、スマートフォン市場、iPhone、そして各種機能について総ざらいする集中講義的シリーズ。他の記事は、「iPhone2026」タグからご覧ください。

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折りたたみスマートフォンは、もう珍しい試作品ではありません。Samsung、Huawei、Motorola、Googleなどが製品を重ね、薄さや軽さ、ヒンジ、画面の折り目を改善してきました。

それでも、2025年の世界出荷は調査会社によって1,720万〜1,960万台。世界のスマートフォン全体に占める比率は約1.4〜1.6%です。つまり、出荷されたスマートフォン100台のうち、折りたたみはまだ1〜2台にすぎません。

ところがOmdiaは、2026年の出荷が2,200万台を超え、前年比22%以上増えると予測しています。IDCも、世界のスマートフォン全体が大幅に縮小するなかで、折りたたみだけは約20%伸びると見ています。

この数字を「折りたたみが、いよいよ一気に普及する」と読むのは早計です。Omdiaの通期予測は、現在の売れ行きだけを延長したものではなく、年後半の新製品に重心を置いたシナリオです。別途、IDCやCounterpoint Research、MM総研はApple参入も成長要因に含めています。

上期21.6%減と、通期22%増は両立する

Omdiaによると、2026年上期の世界出荷は510万台で、前年同期比21.6%減でした。通期では2割以上の成長予測なのに、前半は2割以上減っています。

矛盾に見えますが、見ている期間が違います。スマートフォンは新製品の投入時期によって、半年ごとの出荷が大きく動きます。Omdiaは年後半に各社の新製品がそろい、新しい横幅の広いモデルが需要を押し上げると想定しています。

さらに、IDCやCounterpoint Researchなどの2026年予測は、Appleが折りたたみ市場へ参入することを成長要因として明示しています。しかし2026年8月24日時点で、折りたたみiPhoneの製品名、仕様、価格、発売日に関するAppleの正式発表は確認できません。

したがって、「2026年は2割成長する」は確定した未来ではありません。Omdiaの予測は年後半の新製品と供給、IDCなどの予測はApple参入を含む、それぞれ条件付きの見通しです。新製品の投入が遅れたり、初期供給が少なかったりすれば、実績は予測から外れます。

縦折りは47%減、横折りはおおむね横ばい

もう一つ注目したいのは、折りたたみを一つの市場として見ないことです。

閉じると小さくなる縦折りの「Flip型」は、2026年上期に前年同期比47%減りました。一方、本のように横へ開く「Book型」はおおむね横ばいで、折りたたみ全体の69%を占めました。

Flip型が提案してきたのは、普通のスマートフォンを半分ほどの大きさにして持ち歩けることでした。外側の小さな画面や本体色を生かしたファッション性、端末を置いて撮影できる点にも特徴があります。

Book型は、閉じればスマートフォン、開けば小型タブレットに近づきます。最近は、閉じた状態でも一般的なスマートフォンに近い比率で使え、開くと横長の画面になる「Wide」あるいは「Passport」と呼べる設計が登場しました。

Omdiaは、この横幅の広いBook型を次の成長要因と見ています。市場の重心は「小さく持つために折る」から、「必要なときに広い画面を得るために開く」へ動きつつあります。

伸び率が高いのは、市場が小さいからでもある

ただし、22%という伸び率だけを、需要の強さと同一視できません。分母が小さい市場では、数百万台の増加でも成長率は大きくなります。

仮にOmdiaの2,200万台超という予測を達成しても、世界のスマートフォン全体に占める比率は数%未満です。同社は、2030年の世界出荷を4,500万台と予測したうえで、同年の世界スマートフォン総出荷に占める比率は3%未満にとどまるとしています。

折りたたみは当面、全員が選ぶ標準形ではなく、高い価格を説明できるプレミアム領域です。メーカーにとっては、市場全体の台数が減るなかでも単価と成長を両立しやすい。消費者にとっては、普通のスマートフォンより高価で重く、修理費もかかる端末を選ぶだけの用途が必要です。

見るべきは「2割成長」より、どの形が増えたか

2026年の折りたたみ市場を見るときは、通期の成長率だけでなく、三つを分ける必要があります。

一つ目は、実績と予測です。上期510万台は実績、通期2,200万台超は予測です。二つ目は、Flip型とBook型です。両者は形だけでなく、購入理由が違います。三つ目は、Apple参入の有無と供給量です。発表されることと、十分な台数が市場へ出ることも同じではありません。

折りたたみの2026年は、普及が完成する年ではなく、主役候補となる形が見え始める年と見るのが妥当です。発表会で確認したいのは、折れる回数や薄さの競争だけではありません。その形を選ぶ理由を、メーカーがどこまで具体的に説明できるかです。

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