出展レポート:iTouch Platform 25──モバイルウォレット×学生証が拓く「学びの経済圏」

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ちょもろー「iUtopia 25」の会場では、MID Lab.(Media Innovation Design Lab./松村太郎研究室)と学生起業家・村田圭梧さんの Imagination Studio が共同で開発を進める「iTouch Platform 25」を出展いたしました。

ウォレットアプリと学生証・社員証の利活用を核に、出欠記録からスタンプ、決済、そしてリワードまでを一連の体験として結びつけた今回の実装と、その狙い、今後の見通しをまとめます。

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iTouch Platformとは

iTouch Platform は、大学や企業のID(学生証・社員証)とモバイルウォレットを土台にした研究・開発プロジェクトです。これまで、ブロックチェーンを用いた学習履歴の蓄積や、学生証によるスマート出席の運用実験を重ねてまいりました。

モバイル決済の実装力、三井住友カードの決済端末「stera terminal」のカスタマイズ経験、Apple Wallet と Google ウォレットの開発知見が結び付くことで、PoCにとどまらない現場運用のリアリティを備えた基盤づくりを進めています。

2025年アップデートのハイライト

今回の展示では、体験の流れが一段と滑らかになりました。

出欠システムはiU大学1年生の公式ツールとして採用され、約200名の出席を安定的に記録している実績ができました。

来場者のスマートフォンのウォレットアプリにはQRコード型のスタンプカードを発行し、受付や企画参加のタイミングでstera terminalが読み取るだけでスタンプが蓄積していきます。

運用のハブはstera terminalに集約され、受付、スタンプ付与、状況確認が一台で完結いたします。

スタンプが所定数に達するとstera terminalが自動的に完了を検知し、会場のガチャガチャ機のロックが解除され、1回プレイできるところまで接続いたしました。

出欠と参加を記録し、その可視化をインセンティブにつなげる循環が、自然な動機付けとして機能した点が今回の見どころです。

世界初への挑戦:ステーブルコインで回せるガチャ

「世界初、ステーブルコインで回せるガチャ」にも挑戦いたしました。

ガチャ機とstera terminal端末の連携を拡張し、2025年10月27日に発行が開始された日本初のステーブルコイン「JPYC」での支払いに対応しています。

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来場者はJPYC決済用のQRコードをMetaMaskから読み込ませ、決済が完了するとスマートレジ表示ディスプレイに「ガチャが回せます」と案内が出ます。

フィジカルなリワードとステーブルコイン決済を直結させることで、キャンパス内のミクロ経済圏の実装可能性を具体的に確かめる機会になりました。

展示としては実装検証の位置づけでしたが、小額・即時の価値移転を低い摩擦で実現できる手応えがありました。

開発者・村田圭梧のコメント

今回の挑戦について、開発を主導した村田圭梧さんは、まずハードウェア側の連携が技術的に新規であったと振り返ります。ガチャ機と決済端末を確実に同期させる要件はソフトウェアだけでは完結せず、機器制御や状態遷移を踏まえた設計が欠かせなかったとのことです。

そのうえで、ハードウェアの実装自体は純粋に楽しく、プロトタイプから会場実装までの過程で手を動かしながら要件を形にしていく開発の醍醐味をあらためて実感したと語ります。

一方で、ブロックチェーンに関する前提知識がほとんどない状態からのスタートだったため、基礎理解からトランザクション設計、運用時の安全性までを短期間で集中的に学び直す必要があったそうです。

特に、決済完了までのトランザクション数や確認待ちの調整は、開発環境と本番環境で時間感覚に大きな差が生まれやすく、体験の滑らかさを担保するうえで難所になったと指摘します。

さらに、カード決済システムには整備されたテスト環境が用意されていますが、ウォレットは個人所有であるがゆえに開発用ウォレットを一から用意する必要があり、初期の敷居は高かったと明かします。

テストネット用のETHの発行にも少量のリアルETHが求められる場面があり、学習と準備の積み重ねが不可欠だったという実感を得ました。

総じて、このタイミングでの実装はプロジェクトの初期段階だったからこそ運用目線の知見を一気に蓄積でき、とても良い経験になったと総括します。

設計思想(松村太郎):学びのOSとしてのウォレット

続いて、プロジェクト全体を牽引する松村太郎の狙いをご紹介いたします。

iTouch Platform は、大学における学生・教職員・プロジェクト活動を丁寧に記録し、その情報を安全に持ち運び、価値として利活用することを目指してスタートいたしました。

教育機関がブロックチェーンをベースにした信頼性とポータビリティの高い情報環境を持ち、そこで“育つデータ”が人的・学術的価値を記述していく──この思想が、iU大学の価値の可視化と最大化につながるという見立てです。

今回のアップデートにより、出欠、スタンプ、決済という複数の記録手段がウォレット上で束ねられ、JPYCとの連結によって、学生証とスマートフォン(すなわちウォレット)だけでキャンパス生活の多くが完結する未来像がより具体的になりました。

授業だけでなく、学内プロジェクトや学外活動も貴重な学びとして記述され、やがてキャリアに接続されていくことを目指します。

体験設計と運用の考察

来場者の操作は「スマホを取り出し、かざす/見せる」という最小動作に収まり、受付導線を短縮できました。

stera terminalに業務を集約したことで、受付、スタンプ付与、進捗確認の標準化が進み、人的ミスや待機時間の発生を抑制できています。

また、ウォレットに直接スタンプカードを発行する方式は、専用アプリのダウンロードを強要しないため、参加の障壁を下げられます。出欠・参加・決済のログが単一のID(ウォレット)にひもづくことで、学習履歴と活動履歴を横断して分析し、可視化をインセンティブへと変換する設計が成立いたします。

教育現場にとっての意義

iTouch Platform 25 は、学務(出欠)と学生生活(参加)、インセンティブ(リワード)、決済を一つのID軸に統合いたします。

学習成果をテストの点数だけでなく、活動履歴や貢献の積み重ねとして捉え直すことで、評価とキャリアの接続が強化されます。PBL(プロジェクト型学習)や課外活動の比重が高まる現代の大学教育において、こうした評価基盤の刷新は大きな意味を持ちます。

社会実装に向けた論点

一方で、スケール段階ではいくつかの検討が欠かせません。

データの統合利用におけるガバナンスと同意管理を透明に設計すること、ステーブルコイン活用に伴う会計・税務・規制対応を適切に組み込むこと、学務インフラとして求められる可用性や冗長化を確保すること、そしてウォレット運用を前提にしたユーザーオンボーディングを体系化することです。

今回の展示は、これらの論点を実地で洗い出し、設計を磨くための貴重な場になりました。

今後の展望

今後は、iU大学におけるユースケースの拡大を進めます。

日常運用の中心にウォレットを据え、出欠やプロジェクト参加登録を滑らかにつなぎます。併せて、NFT卒業証書の独自発行に取り組み、改ざん耐性と真正性を備えた学位証明のポータビリティにもトライしていきたいところです。

さらに、JPYCの実装範囲についても、食堂など学内の決済環境へ展開も目論んでいます。

単なる食券の代替にとどめず、食事の栄養価などの付加価値データを記録し、生活習慣の可視化や健康支援へとつなげてまいります。私たちは、日本初・世界初の実装に挑み続け、教育×ウォレット×決済の交差点で新しい標準を提案していきます。

まとめ

iTouch Platform 25 は、「ウォレット=ID+記録+決済」という構図を教育現場に持ち込み、学びの可視化と価値循環を同時に前進させる礎を示しました。

stera terminalを中核に出欠、スタンプ、リワードが一本の体験としてつながり、JPYCによるステーブルコイン決済ガチャというユニークな導線まで到達した今回の出展は、キャンパスをウォレット中心に再設計する青写真を一段と鮮明にいたしました。

次のフェーズでは、学内での本格運用の拡張と、NFT証書や学内決済の横展開を着実に進め、学びの経済圏を現実へと押し出してまいります。

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