SEOは検索エンジン最適化(Search Engine Optimization)の略ですが、最近聞かれるようになったAIOについてはご存知でしょうか?
AIOは、「AI検索最適化(Artificial Intelligence Optimization)」と「AIオーバービュー(AI Overview)」の2つの意味で使われます。
- AI検索最適化:AIが情報を理解・評価しやすくなるようにウェブコンテンツを最適化する手法。
- AIオーバービュー:後者はGoogleなどの検索結果に表示されるAIが生成した要約を指します。
Googleには、AIモードと呼ばれる機能が検索に備わりました。
この機能は、ユーザーが入力した検索内容に対して、AIが質問に対して複数のウェブページから情報を集約・要約して回答してくれます。複雑な質問にも対応し、テキスト入力だけでなく音声やカメラも利用して、より自然な対話形式で検索や情報収集ができます。
今回は、この2つのAIOの影響と、AIモードに対して、ウェブの発信者、権利者がどのように対策を取っていけば良いのか、考えていきたいと思います。
AIOとAI Modeの本質的な違い
AIO(AI Overviews)は、通常の検索結果の上部に要約(スナップショット)+出典リンクを提示する体験です。
Googleの公式ページは、AIOが120以上の国・地域、11言語で提供されていることを示し、「質問の要点をまとめ、関連リンクで深掘りできる」ことをうたいます。

一方のAIモードは、検索を「AI主体の対話インタフェース」に切り替える新モード。
Gemini 2.0系の推論力を土台に、追問ベースで解を深掘りしつつリンクを併走させる「AIのみ検索」に近い形です。
2025年3月に実験的なAI-only版が報じられ、5月には米国で本格提供を発表、7月にはインドでも提供が拡がりました。 日本でも利用できます。

加えて広告も入りました。GoogleはAIO内の広告を「Top Ads」として計測し、個別の“AIOだけに出す/出さない”の制御は不可と明言。
AIモードでも広告テストが進み、既存の検索/ショッピング系の仕組み(広義のAI Max等)から出稿対象になる方向を案内しています。
AIOは検索結果に載る「要約」ですが、AIモードはより踏み込んだ、「AI主体の検索UI」。どちらもリンクは出すが、クリックは減る可能性が高いと言えます。ただしGoogleの収益源である、広告はAI面にも展開しています。
クリックは実際どれだけ減ったのか:相反する「データ」と「主張」
この1年、AIOのクリック低下を示す公的・準公的なデータが相次ぎました。
- Pew Research(2025年7月):AI要約を見たユーザーはリンクをクリックした割合が8%。AI要約なしの場合は15%で、ほぼ半減という結果。
- Seer Interactive(2025年9月アップデート):情報系クエリでAIOが出た場合、自然CTRは61%減、同条件で有料CTRも68%減という傾向。AIOが出ない場合でも全体としてクリックが減少している、という結果。
- Daily Mailの実測:AIO出現時のCTRが80–90%落ちると公言。ただし全体トラフィックへの影響は“低い一桁パーセント”とし、直アクセスとブランド検索を高めることで影響を緩和していると説明。
- Authoritas等の分析報道(Guardian):AIO直下に落ちると最大79%の流入減という推計も。
一方、Googleは、「検索全体のクエリは増え、より多様なサイトにクリックを送れている」と繰り返し主張しており、AIOのリンクは従来の青いリンクよりクリックされやすいケースもあると反論しています。

このように、クリックが減る傾向を示すデータが多く示されています。ただし影響度では異なる結果も見られています。Daily Mailのように、直アクセス比率やブランド検索比率が高い媒体は被害が相対的に小さくなっています。

Googleは前述のページで、Googleサーチのヘッドを務めるVP、Liz Reid氏が「分散に寄与」「質の高いクリック」をAI検索が後押ししている点を強調しています。
3. 発信者にとっての「収益」への影響:4つの直撃ポイント
影響について語っている記事から、発信者の収益への影響として、以下の4つのポイントをピックアップしてみました。
ディスプレイ/アフィリエイトの下振れ
AIO/AI Modeの上位露出によりSERPの可視領域が圧迫。とくに比較・HowTo・網羅系で自然・有料ともCTR悪化の報告が目立ちます。 
「引用されてもクリックされにくい」問題
PewはAIOを見ると外部リンククリックが半減と指摘。AIO内リンクのクリックは全体の1%程度という推計も出回っています(業界要約)。 
広告の“居場所”の再配置
AIO内・AI Mode内広告が広がる一方で、従来の面での視認性が低下。GoogleはAIO内広告の個別オプトアウト不可、Top Ads扱いと案内。 
ニュース領域の特殊性
Googleは「ハードニュースではAIOを出さない方針」を明言。ただ、ニュース周辺の「知識系」「背景説明系」ではAIOが出るため、結局AIOでの陣取り合戦は激しくなっています。 
4. 権利保護はどうなっている:オプトアウト、プレビュー制御、透かし
日本でも問題になっているAIの学習への対価支払いや、学習されたデータのAIによる利活用の問題。若干、権利者側に不利な状況が続いている中、裁判に打って出られる権利者の行動も絶えません。
AI学習のオプトアウト
Googleは「Google-Extended」で学習からのオプトアウト意思表示を受け付けますが、AI Overviews等「検索用AI」には適用外との報道もあります。
つまり学習制御≠AIO掲載制御、となっており、この点の明確化、実際のところどうなっているのかが不透明です。

検索プレビュー(抜粋)の制御
nosnippet / max-snippet / data-nosnippet等のスニペット制御はAIO/AI Modeにも波及(=プレビュー素材の制御)し得ます。
ただしnosnippetは通常の検索スニペットも消える諸刃の剣で、CTR悪化の副作用が大きい点に注意。

真正性の付与(Content Credentials / C2PA、SynthID)
C2PA(Content Credentials)は改変履歴/来歴を埋め込むオープン標準。
GoogleはSynthIDで生成/編集メディアへの不可視透かしを推進。発信側の“本物性”を証明する現実解の一つです(万能ではない)。 

係争と規制の動き
Penske Mediaの提訴(AI Overviewsが収益を毀損)や、Cheggの反トラスト訴訟、伊FIEGの申し立てなど、訴訟/規制線が各地で活発化。
「発信者はこれから何をすべきか」- 特に重要な6項目
まず最優先:“クリック依存”からの脱出
直アクセス比率(Direct/Brand)をKPIに昇格させることを目指していけると良いのではないでしょうか。
ブランド検索と指名導線(SNSプロフィール、メール署名、名刺、動画概要欄、QR等)を徹底的に整備。Daily Mailのように直来訪と指名検索が高いとAIOの直撃に耐性が増します。
また、それらを後押しするサブツールでのプッシュ配信も良いかもしれません。ニュースレター/コミュニティ/アプリなどで再来訪を独自に確保していきます。
もし使っているサイトがWordPressならActivityPubでブログの「フォロー」を可能にする対策を行います(Mastodon等)。またGhostもActivityPub連携を開始。
外部プラットフォーム依存度を下げる施策が必要になると思いました。
“引用される設計”に振り切る
別の視点で考えると、検索エンジンのAI化についていくという戦略もありです。つまり、AIO/AIモードに拾われる「要素」を明確化して整備していく流れ、です。
定義→数値→根拠→図版→出典を一かたまりで提示したり、固有名詞・年次・比較表・手順は“抽出/引用”されやすい傾向にあり、これらのコンテンツを増やしていくことで、AIからサイトに呼び込む可能性を作ります。
また、著者情報、専門性、一次データを明示し、Search Centralの「AI features and your website」ガイドを踏まえ技術要件を満たしておくと良いでしょう。

見出しについても、質問文H2+即答の“回答先出し”を徹底するなど、構成をAIOに対策していくと良さそうです。もちろん、そういうテキストが描きたいかどうか、は別の問題として。
「クリックしなくても価値が伝わる」資産に転換
「要約耐性」の高いプロダクト化コンテンツを作っていくことができるのであれば、そちらに舵を振ることも大切です。つまり、ようやくしたら価値が伝わらないコンテンツ、ということです。
診断や価格トラッカー、掲示板、インタラクティブなインフォグラフィックなど、情報を体験に転換することで、アクセスしてページを開かなければ意味がない状況を作り出します。
動画も、短い長いに関わらず、最も手軽に体験を作り出す手段と言えるでしょう。
また、自社アンケートや独自の図表もAIO引用を促進させ、二次利用による被リンクも狙うことができます。
広告・アフィリエイトの“再配線”
悩ましいのが、自社サイトの広告やアフィリエイトなど、Webサイトの収益源となる部分の再設計です。
AIO/AI Mode内広告の前提を整備し、AI Max等の採用、商品データ品質、Q&A起点のキーワード設計を見直していきます。

アフィリエイトは「レビューから、証拠」へ。独自視点、検証・実測値・失敗含む体験記で「要約に残る要素」を増やす。体験価値を、スペックや網羅的な比較よりも増やす方向が良いのではないか、と思います。比較は、検索者が聞かれればAIがやってしまうので。
「Webの未来」を読む:要約主導から“行動主導”へ
Googleは、「情報から知性へ」(going beyond information to intelligence)という方向を明確にし、AIモードを中核化しています。そのうち、AIモードが標準になるかもしれません。
会話での深掘り、個人文脈、ショッピングや可視化など、「答えに近い体験」が検索の中に溶け混んでいきます。そのため、「記事を読ませること」をゴールとして狙うと、人の行為がAIに代替されてしまうことから、「行動を完了させる」ゴールへと移行させるべきです。
だからこそ発信者は、
• 記事→ツール化(計算・診断・地図・比較)
• 記事→動画/短尺(要約/実演/レビュー)
• 記事→コミュニティ/会員(継続の場)
へと「資産の形」を変えることが重要になりそうです。
8. それでもブログは終わらない:著者の「熱量」が差になる
AIOは「平均化」には強い特性があります。しかし、あるいは、だからこそ、一次取材・検証・現場の温度・体験価値にはまだまだ弱く、ウェブ上の情報やブログに残された活路になる、と考えます。
そのため、体験・失敗・迷いのプロセスは要約に削られにくく、ファン化と直アクセスを生みます。
「拾われる要素」はAI向けに、「好きになる物語」は人間向けに。
二層で設計したコンテンツこそ、AIO時代の勝ち筋となるのではないでしょうか。



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