【イベントレポート】日本の歌に映し出された「遠い大陸」アフリカ:ポピュラー音楽が紡ぐアフリカの表象の変遷 #TICAD9

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2025年8月19日、iU大学墨田キャンパスを会場に、アフリカ会議(TICAD9)パートナー事業「日本の歌と遠い大陸アフリカ – 日本のポピュラー音楽におけるアフリカの表象」と題したセミナーイベントが開催されました。

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イベントの概要

本イベントは、外務省に公認されたTICAD9パートナー事業として、日本の音楽の中でアフリカがどのように歌われ、扱われてきたのかを考察するユニークな試みです。

主催者であるキャスタリア株式会社の代表取締役・山脇智志氏が「これから1時間半一つもアフリカのフレーバーは出てきません。ただただ勘違いした日本の流行音楽が流れるだけです」と語ったように、このイベントは、時に「勘違い」や「妄想」を伴いながら形成されてきた日本のポピュラー音楽におけるアフリカのイメージを、時代と共にどのように変遷してきたのかを紐解くものでした。

私は、本イベントの共催者であるiU大学の教授として、また長年テクノロジーやライフスタイルをカバーしてきたジャーナリストとして、この興味深いテーマに深く関わらせていただきました。

本稿では、イベントで議論された各楽曲の背景と、日本のポップスにおけるアフリカの表象の変遷について、私自身の視点も交えながらレポートします。

イベントの背景と登壇者たち

左から、山脇智志・キャスタリアCEO、吉川昌孝・京都精華大学メディア表現学部学部長、宮内俊樹・音楽ライター、松村太郎・iU大学教授(敬称略)

今回のイベントの意図

イベントの冒頭、山脇氏から今回の企画の意図が語られました。キャスタリアはモバイル学習ツールを開発し、特にアフリカでの教育支援に力を入れています。

その中で、「エクイタブルフューチャー(平等な未来)」という言葉を重視し、「避けられない未来があるんだったら、それに向けて今から何ができるんだろう」という問いのもと、アフリカでの活動を展開しています。

今回のイベントは、そのアフリカとの関わりの中で、「なぜ音楽か」という問いに対し、山脇氏の個人的な音楽への愛情から生まれた企画でした。

iU大学でTICAD9公認イベントを開催する意義

iU大学で8月19日、8月21日の2回にわたって、アフリカ開発会議に関連するイベントを開催することに、大きな意義を感じています。

イベント冒頭に、次のようなコメントをしました。

「日本の人口というのはどんどん減っていきます。そして、まだまだ解決されていない課題っていうのは、国内以上に海外にも広がっていきます。

日本の学生が世界に目を向け、世界の課題を学び、ソーシャルインパクトを作ることができるという思いを持って起業する機会の重要性です。

メディアを使った課題解決を目指す私の研究室「MID Lab. (Media Innovation Design Lab.)」にとっても、今回のイベントは、あまり身近ではない場所、文化、そして人たちのことを知る機会というのは、iU大学としてはとても大事な機会だなと感じています」(松村)

山脇さんはiU大学の客員教授でもあり、また私とはキャスタリアの創業からの長い付き合いでした。

2007年にiPhoneがアメリカで発売された当時、「何かiPhoneを見た時に、これで勉強できるよねという話で当時盛り上がったんですよね」と語り合ったことが、モバイル学習プラットフォーム「Goocus」の誕生に繋がったエピソードも披露しました。

音楽とアフリカに造詣が深い登壇者

そのほかに2名の登壇者が議論に参加しています。

音楽ライターとして長年のキャリアを持つ宮内俊樹氏。

そして京都精華大学でメディア表現学部教員を務め、学長がアフリカ出身者であるという縁を持つ吉川昌孝氏。

それぞれの専門分野から日本のポップスにおけるアフリカの表象について多角的な視点を提供しました。

TICADのパートナー事業

本イベントは、明日から横浜で開催される「第9回アフリカ開発会議(TICAD9)」のパートナー事業として企画されました。

TICADは1993年から3年ごとに開催される日本政府主催のアフリカ開発に関する国際会議であり、日本にとってアフリカは「非常にやっぱり遠い」存在である中で、より多くの人に興味を持ってもらうためのアプローチとして、日本のポピュラー音楽という身近な題材が選ばれたのです。

日本のポップスにおけるアフリカの表象:各楽曲を深掘り

イベントでは、細野晴臣氏の「南洋趣味」や「エキゾチカ」が、日本の音楽における異国情緒の源流にあることが指摘されました。細野氏が日本の音楽シーンに与えた影響は大きく、吉川氏は「新しい文化の窓口みたいなものをどんどん開いていった人」と評価しています。

この視点から、様々な時代に発表された日本のポップスをテーマ別に深掘りしていきました。

テーマ1:偉大なるシンガーソングライター編

このセクションでは、竹内まりやの「象牙海岸」と荒井由実の「アフリカへ行きたい」が取り上げられました。

竹内まりや「象牙海岸」

この曲の作詞は松本隆氏。山脇氏が先月コートジボワール(アイボリーコースト)のアビジャンでこの曲を聴いた際、「一切コートジボワールのことは歌ってない。これは日本のどっか恋人といった懐かしい風景のことを象牙海岸と名付けたというだけの歌で」と指摘しました。

吉川氏も「アフリカ的な表象とか、アフリカをイメージさせるような記号みたいのも全くなくて、その象牙海岸ていう、多分そのことだけを、こう、何て言うんですかね、持ち込んでいるだけっていう、そういうアレですね、世界観だと思います」と語り、松本隆氏の「創造性」あるいは「偽のオリエンタリズム」の一例として議論されました。私からは「遠い海っていうフレーズ、あと遠い夏っていうフレーズが象徴的に入ってきている…アフリカの中でも日本から一番遠い海岸です」と、地理的な距離と歌詞の「遠さ」が結びついている可能性を指摘しました。

荒井由実「アフリカへ行きたい」

ユーミンが1975年に発表したこの曲は、「アフリカへ行きたい」というダイレクトなタイトルが特徴です。ジャケットには「銀色のトンボ」のようなセスナ機が描かれ、歌詞にも「アイアンバタフライ」という表現が登場します。

山脇氏は「なかなかやっぱりユーミンらしい表現だなと思ってますし」とコメントしました。

吉川氏は、この曲のリリース当時、ユーミンがまだ20代前半だったことに触れ、「今2025年。だから50年前にやっぱりアフリカへっていう風に言えるユーミンがすごいですよね。そこを対象にできるっていうのが」と、その先見性を高く評価しました。

宮内氏は「人が忘れ去った野生にめぐり会いたいっていうフレーズが僕が一番すごいすごい」と歌詞の深掘りをしました。これは、現実からの「逃避」と同時に、強く新しい自分を見つけたいという「女性の強さ」の表象とも捉えられます。

テーマ2:映画の影響編

ここでは、沢田研二「カサブランカダンディー」、郷ひろみ「哀愁のカサブランカ」、森進一「モロッコ」が取り上げられました。これらの楽曲は、共通して映画『カサブランカ』の影響を強く受けていることが指摘されました。

山脇氏は、「多分基本的にモロッコとかカサブランカではなく、全てがカサブランカをいわゆる表象していると思われます」と述べ、実際の場所ではなく映画のイメージがベースになっていることを強調しました。

沢田研二の「ボギー」はハンフリー・ボガートを指し、郷ひろみの「セピア色した映画が好き」という歌詞も映画への言及です。

私自身は『カサブランカ』をきちんと見た経験がないのですが、「ハンフリーボガードさんが主演でいいですかね?はい、出てきていて。っていうのは、何か親が見ていてちらっと見たかなとか、そんな記憶ぐらいしかないんですよね」と、世代間の映画に対する認識の違いも垣間見えました。

宮内氏は、これらの曲が「強い風に見せかけてでもこうぐっとこらえる男の格好良さみたいなもんじゃないですか」と、映画が提示する男性像が日本の歌にも反映されていることを指摘しました。

吉川氏も「万国共通の男らしさみたいなものを定義している」と同意しました。

テーマ3:松田聖子、アフリカを歌う(日本の歌手で最多)

松田聖子が「日本の歌手で一番多くアフリカを歌っている」という驚きの事実が明かされ、3曲が紹介されました。

松田聖子「マラケッシュ」

この曲はモロッコのマラケシュを舞台にしており、「迷路の街」「ジャスミンの香り」「高い塔に青い月が上は。そしてじゅうたんに寝転び」といった具体的な描写が歌詞に登場します。

山脇氏は「これ完璧に。いわゆるアラビアのイメージですね。ミナレットがあり、そこに月がある。これは砂漠の月のイメージが出てきますし、究極が絨毯」と分析しました。

私からは「世界遺産ですよね。私は旧市街とかね。だから結構その風景、観光ガイドとかどっかに配置している描写なのかな?なんていう、2010年代だから、そういうのを情報と手法として新しい」と、当時の情報源が歌詞に影響を与えている可能性を指摘しました。

作曲がスティーブ・キップナー、アレンジャーがデヴィッド・フォスターという布陣で、「いかにもデヴィッドフォスターアレンジ」というサウンドは、当時のバブル期の海外録音や新しい音作りを象徴していました。

松田聖子「セイシェルの夕陽」

この曲は、当時のリゾートブームと広告戦略の関連性が議論されました。

山脇氏は、「今まで聞かなかったようなリゾートの名前がやたらとメディアとかで出てくる。

例えばセイシェル、モーリシャス、あと南太平洋の方、今例えばハワイ、グアム、サイパンとかじゃなくて、こういったところがいわゆる出てくる」と、メディアと旅行代理店、広告代理店が連携して新しいリゾート地をプロモーションしていた時代背景を説明しました。

吉川氏も「なるほどザワールドとか、いわゆる何か1個外に外国にみんなが出始めた時の、その先導を切ってたのがこういうセイシェル」とコメントし、海外旅行が身近になり始めた時期との関連性を指摘しました。

宮内氏は、この曲が「赤いスイートピーっぽい」と表現し、松田聖子の中に内在する「女性の強さ」が描かれていると述べました。

松田聖子「Africa」

タイトルが「Africa」と直球なこの曲は、アルバムタイトルが「WE ARE LOVE」という謎めいたものだったことも話題になりました。

山脇氏は「男の人が多分に追いかけて、私も飛んで、極力頭に飛行機が離陸し、離陸なのかな?着陸かもしんないです。そこからアフリカっぽいあれがアフリカなのかどうか知りませんが、ビートが始まっていくというもので、おそらくこれは今度男を追いかけて、私は男を追いかけていくという女の人の強さみたいなものが」と分析しました。

宮内氏も「これは都会の生活を捨てていくっていうフレーズが入ってて、そういうのを全て捨てて、自分はアフリカに追っかけてくる。何重も強さ」と語り、作詞が松田聖子自身であることから、その強い女性像が反映されていることが強調されました。

私からは「すごいラブがありますよね」と、その力強い表現に言及しました。

この曲はバブル真っ盛りの1990年頃の発表で、「男女雇用機会均等法以降なんで、HANAKO世代とかたわわと言われてた時代で、結婚も恋愛、仕事も両方やるみたいな。そういうことが女性で強い女性として言われ始めた時ですね」と、吉川氏が当時の社会背景を付け加えました。

テーマ4:勘違い(変換)編

このセクションでは、久保田早紀「異邦人」、寺尾聡「希望峰」、宮本さち子「マダガスカルの虜」が取り上げられ、日本のポピュラー音楽における「勘違い」や「変換」の面白さが浮き彫りになりました。

久保田早紀「異邦人」

この曲は、ノーベル文学賞作家アルベール・カミュの同名小説に由来するとされ、「おそらく私、異邦人という言葉を異邦人というこの曲以外で、日本で聴いたことがないですよ」と山脇氏。

さらに驚くべきは、元々は「白い麻」という曲名で、久保田早紀自身が住んでいた東京・国立駅周辺の朝の風景を歌ったものだったということです。

しかし、プロデューサーの意向で曲名と歌詞が変更され、中東やアラビア、ひいてはアルジェリアのイメージに「変換」されたのです。山脇氏は「かなりイメージ変化がしてるし、あと歌詞の中でも、だから白い朝って言葉が出てきますよね。

その後に遠いとか、いわゆる急になんか若干歌詞が変わって、異国をイメージするようなものになっていると」と解説しました。

吉川氏は「久保田さっきは本当は松田聖子の前にが力を入れて売ろうとしてたやつなんですよ」と、当時のレコード会社の戦略も背景にあることを示唆しました。

本人はこの歌を「嫌い」だと言っていたそうですが、「日本のポップス史上に残る名曲」であることは間違いありません。

寺尾聡「希望峰」

南アフリカの喜望峰を指すタイトルにもかかわらず、「南アフリカ。あと何一つアフリカのことは歌を歌っていない」と山脇氏が指摘しました。

曲調はレゲエで、歌詞の中心は「希望」というキーワード。しかし、その「希望」という漢字が「布」に「望」と書く「希望」であり、「希望峰」以外では使われない特殊な表記であることも言及されました。

私からは「つまり謎ということ」と、その不可解さをまとめました。

吉川氏は、アルバム「Reflections」の世界観、つまり「投げやりな男性像」との関連性を指摘しつつも、「世界地図を広げてどこに行くかを何かダーツを投げて決めてくれって」という歌詞から、「遠ければいいっていうぐらいだと思いますよ。そのアフリカっていう」と、単に遠い場所をイメージとして使った可能性を示唆しました。

宮本さち子「マダガスカルの虜」

山脇氏は、この曲を「本日最大の謎の歌」と称しました。歌詞に「マダガスカルまで泳いで行こう」とあるように、その非現実性が際立っています。吉川氏も「めっちゃ困るんですよというコメントがちょっとて」と語るほど、謎に包まれた楽曲でした。

テーマ5:アフリカってどこよ?編

このセクションでは、西岡恭蔵「アフリカの月」、TULIP「アフリカは午前0時」、森川美穂「アフリカの風」が取り上げられ、アフリカの地理や実態に対する日本人の認識の曖昧さが議論されました。

西岡恭蔵「アフリカの月」

アルバムタイトルが「南米旅行」であるにもかかわらず「アフリカの月」という曲があり、曲自体も「ホンキートンク」なサウンドで「日本の酒場で元船乗りが札巻いている歌」であり、歌詞にアフリカは出てこないという「むちゃくちゃ」な内容でした。私からは「アルバムタイトル南米旅行や」と、そのギャップに言及しました。

TULIP「アフリカは午前0時」

この曲は「アフリカは午前0時、午後0時」と歌いますが、アフリカ大陸には複数のタイムゾーンが存在するため、「どこの時差だ」というツッコミが入りました。

山脇氏は「アフリカ大陸の話をする一番東側ですね。ケニアとかタンザニア、ここが日本との時差が6時間あります。そしてそこから時差6時間、7時間、8時間と言って、西アフリカの、例えば一番西だとセネガルっていうと来ないで行った。コートジボワールで9時間、4つの時間帯がある。どこだ。どこの国をお前は想定していると」と具体的に指摘し、この歌詞の「適当さ」を強調しました。

私からも「適当なんだけどな。ここいわゆるアフリカ雄大系」と、その抽象的なイメージを指摘しました。

森川美穂「アフリカの風」

この曲は「OL3人組」の海外旅行を描写しており、「制服を脱ぎ捨て」アフリカへ行くという、より現実的な設定が特徴です。

歌詞には「ランドローバー」に乗ってサバンナを旅する様子が描かれていますが、「サバンナがオアシスをと言いましたよね。一番重要なのは、オアシスっていうのは砂漠にあるものなので、砂漠に水があるんです」と、サバンナとオアシスの地理的な混同が指摘されました。

しかし、ユーミンの「新しい自分を見つけるため」のアフリカとは異なり、「これ単なる海外旅行になってくる」と、時代と共にアフリカのイメージがより身近な海外旅行先として「消費」されていった様子が窺えます。私からは「トヨタのランドクルーザーじゃないんですね。クールなイメージ」と、具体的な車種への言及が興味深いとコメントしました。

テーマ6:教授ならではの特別枠

ここでは、坂本龍一の「RIOT IN LAGOS」が紹介されました。

坂本龍一「RIOT IN LAGOS」

歌詞のないインストゥルメンタル曲ですが、ナイジェリアのラゴスで起きた暴動からタイトルがつけられた背景が紹介されました。

山脇氏は「坂本龍一がロンドンに滞在してる時に、まず先に曲作って、タイトルどうしようかなと思ったら、テレビでBBCでですね、ラゴスで暴動がありましたってのがあって、じゃあこれをタイトルにしようってことで決めた」と説明しました。

吉川氏は、「今までのアフリカってその表象されてるアフリカとかイメージのアフリカとかカサブランカのアフリカとかだったんですけど、本当はこう、政治的対立の場所でもあるし、いつまでもそういうのがこう残っている場所としてのアフリカっていうのがちゃんと出てきたのは、これが初めてなんじゃないですかね」と、この曲が日本のポップスにおけるアフリカの「リアル」な側面を初めて提示した重要性を強調しました。

私からも「坂本龍一さんって元々芸大出民族音楽とかも学んでた人なので、これ音楽的にもうすごいいろんな要素が入ってて、これよく聞けば聞くほどアフリカのポリリズムっぽいんですよ」と、その音楽的造詣の深さとアフリカ音楽からの影響を指摘しました。

また、「やっぱりかっこいいですし、これ一回聴いただけだとなかなか理解しきれないっていうところも、面白さっていうのがありますよね。…何か僕らが知ってる坂本龍一さんと、やっぱりすごく社会との密接社会と音楽っていう関係性をすごく描いているっていう印象がやっぱり僕ら世代にもあるので、何かそういうきっかけになったのがアフリカっていうのはすごく面白い出会いだなと思いました」と、坂本龍一氏の音楽と社会性の結びつきについてコメントしました。

テーマ7:アフリカの真実編

イベントの最終章では、アフリカの「真実」に迫る3曲が紹介されました。

ダ・カーポ「SALAM, 甦れアフリカ」

この曲は1985年のテレビ朝日のアフリカ飢餓救済キャンペーン主題歌であり、「非常に渇いたとか、いわゆる飢餓救済ですので、そのための曲」と山脇氏。

歌詞の「お前」が何を指すのかなど、シリアスな内容が特徴です。しかし、曲名の「SALAM」がトルコ語で「こんにちは」を意味するという、ここでも「勘違い」があったことが指摘され、「関係ないんです」と私から補足しました。

これは、欧米の「We Are The World」などの音楽を通じてアフリカの飢餓救済が日本に入ってきて、日本のメディアと連動していった初期の例といえます。

さだまさし「風に立つライオン」

この曲は、長崎大学医学部出身の医師の実話に基づいた楽曲で、ケニアの病院や研究所での活動が描かれています。

山脇氏は、「非常にネガティブでありながら、ちゃんとポジティブなところに持っていくし、かつ日本というところと、いわゆるアフリカで、これはちゃんとアフリカから歌った歌」と、そのリアリティとバランスの取れたアフリカ認識を高く評価しました。

私自身もこの曲には深い思い入れがあり、「何かすごく印象的な何か東京とそのアフリカの何か行ったり来たりみたいな対比というのも私の中に出てきていて、千鳥ケ淵の資料ではの東京の桜っていう話が出てきてか、すごく情景がやっぱり浮かぶなっていうのがあって、そこの先程おっしゃったように、アフリカのちゃんとした風景がきちんと入ってきてるっていうところが、ちょっと今までのものとは取材て少し違うがあります」と、そのリアルな情景描写と日本人視点でのアフリカへの向き合い方を評価しました。

MISIA「バオバブの木の下で」

イベントの最後を飾ったのはMISIAのこの曲でした。MISIAはアフリカ支援活動にも熱心で、実際にアフリカに赴き、学校支援などを行っています。

山脇氏は、自身がバオバブの木の下に行った経験から、「涼しいです。単純にバオバブがあるってことは、やっぱ暑いところなんで。…大地の鼓動というか、その木がもうすごいバオバブってね、何かなかなか腐らない、強い。なので、その強さみたいなものをやっぱりすごく感じる木」と、その実感を語りました。

吉川氏も「この曲だけすごい最近なんですよね。…やっぱ何か全体的な話になっちゃうかもしれないんですけども、すごいやっぱり具体的になったし、アフリカのイメージとか、あとアフリカの関係性みたいな、日本とのあとアフリカって言っていたのが、何か一個一個国なり何かなんだろう、場所とか事事例ごとに何か見えてきた状況になってる時の曲かなっていうふうに思う」と述べ、この曲がアフリカ表象の「解像度」が最も高いことを示唆しました。

議論の総括と今後の展望

イベント全体を通じて、日本のポピュラー音楽におけるアフリカの表象が、時代と共に大きく変化してきたことが明らかになりました。

私からは、「日本こういう歌い継がれてきたようだけれども、だんだんだんだんその解像度が上がってくる感じっていうのがすごく分かりやすかったですよね。だからだんだんその先程言ってたように具体になっていくし、個別になっていくし、その問題をそのものを見てきた人の言葉っていうものが歌に乗ってくる。

だからそういうところがだんだん我々がアフリカをより詳しく知るようになったっていうところが、何かこの歌の変遷みたいなのを見ていくと、すごくありありと描かれていたなという感じがしましたね」と総括し、アフリカへの認識が深まるにつれて、音楽表現もより具体的かつリアルになっていったことを強調しました。

宮内氏は、「松本隆の影響力の高さを改めて感じる」と述べ、日本の音楽の源流に「憧れ」や「勘違い」から生まれた名曲や間違いが多数存在することの面白さを指摘しました。

吉川氏は、70年代から80年代にかけて歌謡曲がアフリカというモチーフを「消費」してきた側面があったと分析しつつも、「90年代以降っていうのは…あんまり消費されてなくて、何か特に85年のライブへの移行は、その支援するとか、あるいはそこに乗り込んでいって本当に一緒に何か問題にぶち当たっているとかっていうので、あんまりこう楽曲になりづらかったのかな」と、社会の変化と楽曲テーマの変化について考察しました。

また、アフリカが「楽曲のテーマとしてのフロンティア」として捉えられていた時代があったことも指摘しました。これに対し、私からは「次は宇宙とか歌うんじゃないですかね」と、新たなフロンティアへの期待を投げかけ、「2000年代はやっぱり地球を歌ってたって環境問題を思うので」と、環境問題など地球規模の課題に焦点が移っていった可能性にも言及しました。

まとめ

本イベントは、日本のポピュラー音楽を通じて、アフリカという「遠い大陸」が日本人の心の中でどのように描かれ、そのイメージがどのように「解像度」を上げてきたのかを鮮やかに提示しました。

時に「勘違い」や「妄想」を伴いながらも、その創作活動を通じて、私たちはアフリカという大陸に思いを馳せ、やがてはリアルな課題と向き合うようになっていった。音楽が持つ想像力と社会との接続力を改めて感じさせられる、非常に示唆に富んだ時間でした。

イベントの最後に、山脇氏から「本業が違うんです。なかなかちょっとできないんで」としながらも、「このフォーマット、テーマを変えてまたやってほしい」というチャットでのリクエストがあったこと、を私からも伝えました。

長時間にわたりご視聴いただいた皆様、会場にお越しいただいた皆様に心より感謝申し上げます。今後も、このような多角的な視点から社会や文化を考察する機会を提供していきたいと思います。

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コメント

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