花王の映像内製化成功事例:Blackmagic Designで自社スタジオ構築をきっかけに、組織内で映像内製化の文化醸成を通じて、年間数千万円のコスト削減を実現

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コロナ禍以降、株主総会や商品発表会、社内セミナー、メディア向け説明会など、企業活動のあらゆる場面で「映像」や「オンライン配信」が当たり前になりました。

しかし、そのたびに外部スタジオや制作会社に依頼していては、コストもリードタイムも膨らむ一方です。

本ケーススタディでは、大手日用品・化学メーカーの花王株式会社が、Blackmagic Designの製品を軸に自社スタジオを構え、5名の兼務チームで年間80〜100件にのぼる、撮影・配信・収録などの案件を回しながら、数千万円〜1億円規模のコスト削減とコミュニケーション変革を実現している事例を整理します。

花王株式会社でDX戦略部門DX戦略デザインセンターに所属する、長瀬敬太さんにお話を聞きました。

  1. スタジオ立ち上げの背景――「全部外に投げていて、知識が溜まらない」
  2. 5名兼務のチーム実態――プロ出身4名+ガジェット好き1名
    1. チーム構成:テレビ・イベント出身者が中核
    2. 5名全員が「兼務」で回すオペレーション
    3. 役割:ディレクター・配信・舞台進行を一人何役も
  3. Blackmagic Design活用と設備構成――「誰が使っても同じUI」の強み
    1. スタジオ設備:ATEMとISO収録による「やり直しの効く現場」
    2. カメラとUIの設計思想
    3. 編集環境:DaVinci Resolveによる「サブスク疲れ」回避
    4. 4-4. 音声とオペレーション簡略化
  4. コスト構造とROI――初年度で7〜8千万円の削減効果
    1. 初期投資:2,000〜3,000万円規模
    2. 年間80件、初年度で7〜8千万円「浮いた」
    3. 今でも外注する領域と、その理由
  5. 映像内製化がもたらしたコミュニケーション変化――スピードと自律性
    1. 「明日撮りたい」に応えられるスピード
    2. 化粧品メディア向けイベントの「ライブ or 録画 × 多回配信」
    3. 部署主導の企画と、スタジオチームのスタンス
    4. 社内チェック・承認プロセスも高速化
  6. カルチャーの伝搬と人材育成――化粧品部門は独自スタジオまで作成
    1. 化粧品チームは「動画PRの先頭ランナー」
    2. 「動画編集は新しいパワポ」
    3. 物理的な「距離」がカルチャー定着を左右する
    4. 人材育成のボトルネック
  7. 企業が映像内製化に踏み出すための成功パターン
    1. 小さく始める:会議室+ATEM Miniからで十分
    2. スタジオは「日常動線」の中に作る
    3. コアメンバーは「プロ+ガジェット好き」の混成で
    4. 自分たちの役割を「企画屋」ではなく「場の管理人」に置く
    5. 何を「やらないか」を最初に決める
    6. 技術スタックはできるだけ統一する
    7. ROIを数字で示し、1年での回収を狙う
  8. まとめ
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スタジオ立ち上げの背景――「全部外に投げていて、知識が溜まらない」

花王が映像内製化を本格的に進め始めたのは、2021年前後からはじまりました。きっかけは、当時の社長の一言でした。

「全部外に投げていて、あなたたちに知識が溜まっていない。もし外注先がいなくなったらどうするのか」

それまで、株主向けイベントや新製品発表会、メディア向け説明会などは、外部スタジオ+制作会社+機材レンタルという「フル外注」が前提でした。

規模の大きい案件では、数日間にわたるリハーサルと本番スタジオ費・機材費・人件費を含めて1件あたり500〜600万円規模になることもあり、リハーサル日程を含めると数日間スタジオと機材を押さえる必要がありました。

さらに、コロナ禍を機にオンラインイベントや動画コンテンツの本数が急増し、

  • 株主向けオンラインイベント
  • 社内向けセミナー・研修
  • 化粧品メディア向けの商品事前説明動画
  • インフルエンサー/メディア向けオンライン発表会

など、「パワポ資料」ではなく「動画で伝える」案件が急増していました。

このままでは、「コスト」「スピード」「ノウハウ蓄積」の観点で限界が来る。そこで、「スタジオを社内に持ち、映像制作・配信を内製化する」という方針が固まっていきました。

5名兼務のチーム実態――プロ出身4名+ガジェット好き1名

チーム構成:テレビ・イベント出身者が中核

スタジオ立ち上げ時のメンバーは5名でした。そのうち4名はテレビ局や映像・イベント制作会社の出身者で、CM制作やテレビ番組制作の経験を持つ「職人肌」のメンバーが中核を担っています。

残る1名は、もともと営業職・情報システム部門を経験してきた「ガジェット好き」の社員、その人物こそ、今回お話をうかがった長瀬さんでした。

コロナ禍初期に自腹でATEMミキサーとグリーンバックを購入し、自宅からユニークなオンライン配信をしていたところ、それを目にした上司から「お前、立ち上げメンバーとして行ってこい」と声をかけられ、このチームに合流しました。

5名全員が「兼務」で回すオペレーション

特徴的なのは、5名全員が他業務と兼務している点です。

専属の制作部隊ではなく、「本業+スタジオ運営」をこなす形で、年間80件を超える案件を回しています。

  • スタジオ案件:社内セミナー、メディア向け商品説明、株主向け配信など
  • 出張案件:東京ミッドタウンなど外部会場でのイベント配信
  • ロケ案件:工場のドローン撮影など屋外での撮影

大規模イベントでは、5名を「2班」に分けて現場を回すこともあります。人手が足りないときのみ、元所属先のイベント会社など外部のオペレーターをピンポイントでアサインしています。

役割:ディレクター・配信・舞台進行を一人何役も

現場では、一人が配信ディレクター+フロアディレクター+タイムキーパーを兼ねることも珍しくありません。ケースによっては、工場ロケでドローンを操縦し、自ら撮影・編集まで担当することもあります。

外部の配信会社に依頼した場合、同様の現場には10名前後のスタッフが入ることが一般的ですが、それを「5名兼務チーム」でカバーしている点が、この事例のユニークさと言えます。

Blackmagic Design活用と設備構成――「誰が使っても同じUI」の強み

スタジオ設備:ATEMとISO収録による「やり直しの効く現場」

スタジオには Blackmagic Design のスイッチャー「ATEM Television Studio HD8 ISO」と、全入力を個別に収録できるISOモデルが導入されています。

  • プレゼン用PC
  • 複数台のカメラ(登壇者・会場・引き絵)
  • オンライン参加者からのフィードバック用のモニター

これらをATEMに入力し、プログラム出力(本番映像)に加えて、各カメラ・ソースを別々に収録しています。スイッチングをミスしても、後からDaVinci Resolveで差し替えが効くため、「現場での心理的安全性」が高くなる運用です。

「録画ボタンを押しておけば、全部の素材を後から編集できます(ISO)。スイッチャーが間違えてもリカバリーできるので、現場が楽になります」

カメラとUIの設計思想

カメラは、一般社員が触る前提ではソニー製カメラを採用しています。Blackmagicのカメラはフルマニュアル志向で、色調整・露出などを細かく追い込める一方、一般社員にはハードルが高い面があります。

そこで、

  • 一般利用:ソニー(オートも効きやすく、扱いやすい)
  • プロユース・移動案件:Blackmagicカメラ+放送用B4レンズ

という二段構えの体制にしています。

一方で、スイッチャー周りはBlackmagicで統一しており、ATEMの操作画面はモデルが変わってもほぼ共通です。

「機械が変わってもソフトのコントローラーは変わりません。グレーアウトしていたオプションがオンになるかどうかくらいの違いです。一度覚えた社員はどの現場でも迷いません」

この「UIの共通化」が、限られた人数でスタジオと出張案件を両方回せる理由の一つになっています。

編集環境:DaVinci Resolveによる「サブスク疲れ」回避

編集ソフトは、Blackmagic Design の DaVinci Resolve を採用しています。従来主流だったAdobe製品は、価格高騰とサブスクリプション化により、ライセンス費が大きな負担になりつつあります。

「Adobeは年間10万円。それをPCごとに払うとなると、とんでもない額になります。DaVinciなら買い切りで、必要なら入れ替えればいいだけです」

企業全体で動画制作スキルを広げていくには、ライセンス数が増えるほど負担が膨らむサブスクモデルは相性が悪くなりがちです。その点、DaVinci Resolveは初期投資さえ済めば、制作部門を拡大しても追加コストを比較的抑えられる点が評価されています。

4-4. 音声とオペレーション簡略化

音声まわりでは、あえて高度なデジタルミキサーではなく、フェーダーが見えるアナログミキサーを中心に据えています。

「デジタルミキサーだとページ切り替えで迷子になります。『今どの画面を見ればいいのか』が説明しにくく、パニックになりやすいんです」

アナログミキサーであれば、「このフェーダーを上げてください」と指差しで教えられます。一般社員が補助に入ることも多い現場において、「誰でも触れるUI」は非常に重要な要素になっています。

コスト構造とROI――初年度で7〜8千万円の削減効果

初期投資:2,000〜3,000万円規模

スタジオ設備と出張用機材、放送用B4レンズなどを含めた初期投資額は2,000〜3,000万円規模とされています。

特に、ホール後方から登壇者を抜けるようにするために導入したB4レンズは、「一番高額な機材」として経営陣からも話題に上がりました。

この投資について、担当者は部門長に対し、

  • 数年先までに必要となるイベント本数の見込み
  • 1件あたりの外部発注費(スタジオ、機材、スタッフ)
  • 内製化した場合に削減できるトータルコスト

を試算した上で、「このくらいの機材投資であれば10回程度の案件で元が取れる」と説明し、承認を得ています。

年間80件、初年度で7〜8千万円「浮いた」

内製スタジオが本格稼働してからは、年間約80〜100件の案件を受けています。準備やリハーサルまで含めると、ほぼ毎日のように何かしらの配信・収録が行われていた計算になります。

担当者によると、社内試算ベースで、

「初年度だけで7〜8千万円くらいは浮いた(外注した場合に比べて削減できた)感覚があります」

と語られています。

1件あたり500〜600万円かかっていた大型案件の発注減り、「スタジオ代+機材レンタル費」といった固定的なコストを社内で吸収できるようになりました。

今でも外注する領域と、その理由

とはいえ、すべてを内製化しているわけではありません。明確に「やらない」と決めている領域も存在します。

  • テレビCM撮影
  • タレント・著名インフルエンサーを起用した大規模企画
  • クリエイティブ性が強く、外部クリエイターの発想が必要な案件

これらは従来どおり、広告代理店や制作プロダクションに依頼しています。

理由としては、

  • 人手・時間の制約(5名兼務ではさすがに回しきれない)
  • 社外クリエイターとの関係維持
  • タレント・事務所対応など、専門性と交渉力が求められる領域

といった点が挙げられます。「全部内製」はむしろコスト効率が悪くなりうるためです。

スタジオチームは、自分たちの役割を

「お金がないけれど、どうしてもやりたい部署の受け皿」

と位置づけ、内製と外注のバランスをとりながら運営しています。

映像内製化がもたらしたコミュニケーション変化――スピードと自律性

「明日撮りたい」に応えられるスピード

内製スタジオの最大のメリットは、スピード感です。

社長から突然、

「明日撮りたいんだけど」

と言われることも少なくありません。

外注前提の体制では到底対応できませんが、スタジオチームが内製で回せる今は、2名程度の最小編成でも撮影を実施できる体制が整っています。

編集の納期については「さすがに翌日は勘弁してほしい」というのが本音とのことですが、事前収録〜編集〜配信までを、従来の数ヶ月単位のリードタイムから、1〜2週間単位に短縮できています。

化粧品メディア向けイベントの「ライブ or 録画 × 多回配信」

化粧品カテゴリでは、新製品の発表時に美容誌やメディアを招いた説明会が頻繁に行われます。

花王では、

  • スタジオで事前収録した動画を
  • 1日に5回程度「ライブ風」に配信する

といった運用も行っています。

忙しいメディア各社が、一度の時間枠では集まりきらないため、同じコンテンツを複数スロットに分けて配信しているのです。

これは、スタジオ設備と配信オペレーションを自前で持ち、日常的に回せているからこそ可能なやり方と言えます。

部署主導の企画と、スタジオチームのスタンス

興味深いのは、スタジオチームが自らコンテンツ企画を持ち込まないというスタンスです。

「『こういう企画やりませんか?』と、こちらからは持ち込みません。

企画は各部署に自分たちで考えてもらいます」

スタジオチームはあくまで、

  • 機材の使い方を教える
  • 最初の1〜2回は一緒に付き合う
  • 3回目以降は「横で見守るだけ」にして、自走してもらう

という役割を徹底しています。

こうすることで、各ブランド・各部門が自分ごととして動画を企画し、自分たちで編集・配信まで行うカルチャーが育ちやすくなります。

社内チェック・承認プロセスも高速化

外注時代は、

  1. 3ヶ月前から制作会社に発注
  2. 打ち合わせを重ねて構成を作成
  3. 撮影・編集
  4. 自部門チェック → 上司チェック → 必要に応じて再撮影

というプロセスを経るため、3ヶ月スパンの案件も珍しくありませんでした。

内製化後は、

  • 「1時間だけスタジオを押さえてください」と上司ごと来てもらい
  • その場で撮影
  • 場合によっては、同じ部屋で編集しながら上司に確認

という形で、最短1週間程度で完結するケースも生まれています。

コミュニケーションのスピードと頻度が、質的に変化していると言えます。

カルチャーの伝搬と人材育成――化粧品部門は独自スタジオまで作成

化粧品チームは「動画PRの先頭ランナー」

花王の中でも、とりわけ映像活用が進んでいるのが化粧品ブランド部門です。

  • 自らインスタグラム配信を行い
  • 商品紹介動画も自分たちで撮影・編集し
  • スタジオを頻繁に利用する「ヘビーユーザー」

として、社内でも一歩先を走っています。

ブランドごとにPR担当がおり、「動画が良いのか、紙が良いのか」を自分たちで選択し、企画しています。

その延長線上で、化粧品チームが独自に静止画中心のスタジオを開設する動きも出てきました。本社スタジオでの成功体験が、別の部門・別の拠点へとコピーされている形です。

「動画編集は新しいパワポ」

スタジオチームでは、内製化した動画制作のリテラシーやスキルを、社内広範に拡げていこうという姿勢で、「動画スキル」が当たり前になっていく世界を考えていました。

簡単に言うと、

「パワポを作るように、自分で動画プレゼンを作れるようになろう」

というものです。

これは、今後のビジネスコミュニケーションにおいて、「動画編集スキル」が「パワーポイントスキル」と同程度の基本リテラシーになるという前提に立った取り組みと位置づけられており、ユニークな点といえます。

物理的な「距離」がカルチャー定着を左右する

今回のスタジオは、茅場町の本社の隣にあるビルに作られており、年間80〜100回もの利用と稼働率が高い状態になっています。

しかし実は、本社から少し離れた箱崎にある社外研修センターにもスタジオ的な設備があります。オフィスから徒歩10分離れていることで、ほとんど使われていないという課題も共有されていました。

具体的には、

  • 荷物を持って移動する負荷
  • 日常動線から外れていることによる「心理的距離」

が原因となり、スタジオとしての稼働は低い状態です。

一方、本社スタジオはオフィスと同じ建物内にあり、「空いていれば自由に使える」状態が徹底されています。

「スタジオは必ず『日常の動線上』に作ること」

これは、カルチャーとして映像内製化を根付かせるうえでの重要な示唆と言えます。

人材育成のボトルネック

スタジオチームには、「自分も参加したい」という若手社員が一定数いるものの、現状では、

  • ケーブルの巻き方から教える余裕がない
  • 職人肌のベテランも多く、初心者には心理的ハードルがある

といった事情から、完全な未経験者を一から育成するキャパシティは不足している状況です。

だからこそ、先述のブートキャンプのような「仕組みとしての育成プログラム」が鍵になります。「現場でマンツーマンで教える」のではなく、「学習機会を制度として用意する」方向へ舵を切りつつあると言えます。

企業が映像内製化に踏み出すための成功パターン

最後に、花王の事例から抽出できる「始め方」と「成功パターン」を整理します。

小さく始める:会議室+ATEM Miniからで十分

花王自身も、いきなり本格スタジオを作ったわけではありません。

最初は小さな会議室にコンデジとATEM Mini / Mini Proを置くだけの構成からスタートしています。

  • 常設カメラ+簡易照明+ATEM Mini
  • グリーンバック or シンプルなバック紙
  • ノートPCからの資料入力

このレベルでも、社内セミナーや簡易な商品説明配信には十分対応できます。

重要なのは、「まずは毎月・毎週のように回すこと」であり、最初から完璧なスタジオを目指す必要はありません。

スタジオは「日常動線」の中に作る

稼働率を高めるには、場所がすべてと言っても過言ではありません。

  • 本社オフィスと同じビルのフロア
  • 社員が普段から行き来する動線上
  • 「空いていればすぐ使える」距離感

これらを満たさないと、「せっかく設備を入れたのに誰も使わないスタジオ」になりがちです。

研修センターや郊外拠点など、日常動線から外れた場所にスタジオを設ける場合は、用途を絞るか、送迎・ケータリングなどを含めた特別な運用を前提に考えた方がよいでしょう。

コアメンバーは「プロ+ガジェット好き」の混成で

花王の成功要因のひとつは、

  • テレビ・イベント出身のプロ4名
  • 社内出身のガジェット好き1名

という構成にあります。

  • プロ:クオリティ・安全性・現場設計を担保
  • 社内人材:社内文化や意思決定のツボを理解し、「顔の見える窓口」として機能

この組み合わせにより、社内説得と現場のプロ品質を両立できています。

全員プロで固めても社内への浸透は難しく、全員素人ではリスクが高すぎます。その中間を狙うのが現実的なアプローチと言えます。

自分たちの役割を「企画屋」ではなく「場の管理人」に置く

スタジオチームが企画まで抱え込むと、ボトルネック化は避けられません。

花王は最初期から、

  • 企画は各部門に担ってもらう
  • スタジオチームは機材支援とファシリテーションに徹する

という役割分担を徹底しました。

これにより、スタジオチームの人数が増えなくても、利用部門の数と案件数を増やせる構造になっています。

他社が真似る際も、「社内映像制作部」を作るのではなく、「社内スタジオ運営・支援チーム」として立ち上げる方が、スケールしやすいと考えられます。

何を「やらないか」を最初に決める

花王のスタジオチームでは、

  • CM撮影はやらない
  • タレントを大々的に使う案件はやらない

と、あらかじめ線を引いています。

この「やらない領域」を明確にしておくことで、

  • 外部パートナーとの関係を維持できる
  • 内製チームの稼働がパンクしない
  • 社内からの期待値をコントロールできる

といったメリットがあります。

内製化プロジェクトの初期には、「やれること」よりもむしろ、「やらないこと」の整理が重要になるといえます。

技術スタックはできるだけ統一する

  • スイッチャーはBlackmagic(ATEM)で統一
  • 編集はDaVinci Resolveに寄せていく
  • 音声はアナログミキサーを基本にする

といった形で、技術スタックを統一するほど、教育コストは下がります。

「どの現場でもUIが同じ」「どのPCでも同じ編集ソフト」という状態をつくることが、少人数・兼務チームには不可欠です。

ROIを数字で示し、1年での回収を狙う

経営陣を説得するうえでは、花王が実践したようなROIシミュレーションが非常に有効です。

  1. 過去1年の外注イベント・配信案件の本数と平均単価を洗い出す
  2. 内製化後の運用想定本数を仮定する
  3. 「スタジオ代+機材レンタル+ベーシックな制作費」を内製化で削減できる分として算出する
  4. 初期投資額と比較し、「何本やれば元が取れるか」を示す

花王は、当初、「10案件ほどで機材費を回収できる」という筋の良さを示し、結果として初年度で7〜8千万円規模のコスト削減を実現しました。

まとめ

花王の事例は、映像内製化が、

  • コスト削減の手段であると同時に
  • コミュニケーションのスピードと自律性を高め
  • 映像リテラシーという新たな「社内能力」を育てる投資

になりうることを示していると考えられます。

「会議室+ATEM Mini」レベルの小さな一歩からでも問題ありません。

日常動線上にスタジオを置き、プロと社内人材の混成チームを作り、企画を各部門に任せる。

そのうえで、ROIを数字で押さえつつ、成功体験を横展開していくことが重要です。

それが、花王の実践から見えてきた、「企業が自社映像制作に乗り出す際の現実的な成功パターン」であると言えます。

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コメント

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