実は最近、ドラクエ熱が再燃しています。
小学生の頃、ドラゴンクエストIIでサマルトリアの王子に振り回され、ドラゴンクエストIIIでダークマターにガイアのつるぎを投げ込み、ドラゴンクエストIVでキングレオに負けてストーリーが進むことに気づかなかった小学生時代を過ごしてきました。というかドラクエIIってなんであんなに敵に遭遇するの……。
※そこから先は受験やら部活やらで、あまりプレーした記憶があまりないです、すみません。
現在ではスマートフォンで過去作のリメイク版がプレーできるようになりました。ふっかつのじゅもんなし、「おきのどくですが、ぼうけんのしょ1はきえてしまいました」の発動に怯えることなく、いつでもやり込める幸せ。
I〜IIIはドラクエポータルアプリから楽しめます。
ドラクエで育ったからこそ共感しかない1冊
そんな「ドラクエキッズ」としては共感しかないのが、2015年に出版されたJUNZO著『人生ドラクエ化マニュアル – 覚醒せよ! 人生は命がけのドラゴンクエストだ!』です。
この本は、エニックス(ドラゴンクエストシリーズの開発元、現在はスクウェア・エニックス)に勤めていたJUNZOさんが、ゲームの三大要素の発見と、それを人生に適用しようという「人生ドラクエ化理論」について書かれた1冊。
冒頭、「定価5500円のテレビゲームに面白さで負ける人生を送ってどうする!」と煽られます。本当にそうですよね。返す言葉もありません。
自分や人生にRPGの要素を見出してライフハック化することで、テレビゲームに負けない人生を送ろうじゃないか、という発想の転換を促してくれるのです。
ゲームの三大要素と、ゲーミフィケーション
この本は、一言で言えば、「人生のゲーミフィケーション」という発想を与えてくれています。
JUNZOさんは本の中で、ゲーム作りの三大要素として、
- 目的
- ルール
- 敵
の3つを挙げています。
このなかで、ルールの部分が、ビジネスフレームワークとしての「ゲーミフィケーション」(Gamification)を指していると思います。ゲーミフィケーションとは、ゲームの要素や原則を、ゲーム以外の物事に応用することです。
ゲーミフィケーションの例
例えば自治体がスマホアプリで、インフラの修復すべき場所などを投稿してもらおうとした時、単に投稿できるアプリを用意するだけでは、なかなか投稿してもらえません。だからといって、通報者にギフトカードのような金銭的メリットを提供するほどの予算もありません。
そんなアプリの投稿を促す仕掛けとして検討したいのが、ゲーミフィケーションです。
アプリは、より良いまちづくりを一緒に行うことを目指して、「道路の穴ぼこ」「切れてる街頭の電球」「壊れた縁石」など、期間を決めて集中して投稿するテーマを設定します。
その上で、投稿してくれた人に、何らかのポイントを提供し、ポイントのランキングを発表。上位のポイント獲得者には、バッジや称号を与える、というルールを設定します。
これらのルールによって、市民が日常的に投稿を楽しむコミュニティ形成をしていくことで、まちづくりへの参加性と競争環境を作り出し、投稿を集める仕組みにしていくことができます。
このように、ゲーミフィケーションには、
- 目的
- クエスト
- 報酬
- 可視化
といった4つの要素が検討され、これをうまく設計(ゲームデザイン)していくことで、「目的の最大化」を狙っていくのです。
ゲーミフィケーションは、例に出したまちづくりのような公共分野だけでなく、教育や健康、生産性アプリ、BtoB分野にも活用が進んでいます。
野望とルールの設計
人生の目的はそれぞれにあると思いますが、「あれがしたい!」「こうなりたい!」だと漠然としすぎてしまい、具体的に何をすれば良いのかがわからなくなってしまいます。
たいてい悪者の親玉は、世界征服の野望を抱いて「まずは手始めに」と手近な街や国を滅ぼします。じゃあ人生の目的の「まずは手始めに」はなんなのか?という話です。
個人的には「夢を野望化する」という言語化をしていますが、野望にするにはステップアップしていくマイルストーンが必要で、これを決めて順々にこなしていくことで、野望に向けた全身が進んでいきます。
悪者の親玉も意外としっかりしているんですね、そう考えてみると。
またルールの部分、先述のゲーミフィケーションはフレームワークを活用して設計することができます。このルール作りは、実は引き返すべきポイントを決めるリスク管理の側面もあります。
大抵のRPGでは、HPがなくなったら死んでしまいます。お金が半分になってある時点に戻されてしまいます。では人生における野望への取り組みにおける「HPゼロ」とはどういう状況なのか、決めておく必要があるのです。
仮想敵を設定する
JUNZOさんは、ドラクエ、人生論において、「敵」の存在も重要であると指摘しています。
敵とは、ドラゴンクエストの作中では、スライムから始まって、強くなっていく存在。ときにはボスキャラとの対戦もあります。
多くの場合、適正レベルや持っておくべきアイテムなどが存在し、実際の先頭における戦略も求められます。敵にどう立ち向かうか、どう攻略していくか、そして必ずつきまとう勝敗と、勝ったときの爽快感は、RPGの醍醐味ともいえます。
人生においては、物理的に叩いて攻略する「敵」ではでなく、ライバル、先輩や上司、組織、あるいは親、あるいは自分のキャリア、置かれた境遇など、「敵」になりうるものはたくさんあります。
憎む前に攻略せよ、そんな発想の転換に気づくことができるのが、ドラクエ人生論のポイントになるのではないでしょうか。
人生におけるレベル上げと金貯めは?
ドラクエをはじめとしたRPGには、
- わくわくするシナリオ
- レベルとお金という物語を進める上で不可欠な要素
- 確率論とそのスキを突く戦略
があって、ドラクエIIIになると、どんな仲間を連れて行くのか、というプレイヤーの選択領域も広がります。
自分の現在の状況やそれまでの人生も、ドラクエ的な観点で振り返ってみると、わくわくするシナリオが用意できてるか?レベルとお金は足りてるか?どんな可能性がそこに待ち受けているのか?といった要素を見出すことができるのではないか、と思うわけです。
人生とドラクエが違う点は、ドラクエではレベルを上げている最中にお金も貯まっていきますが、人生ではなかなか両立はままならないということ。
もちろん、何らかの会社に就職して、経験を積みながら給料をもらいながら、と言うフェイズも存在してはいるのです。しかし、ドラクエ人生論に出会うまでは、お金のために働いている、夢を追いかけている、と経験や冒険とお金がちぐはぐになってしまい、だんだん楽しくなくなっていってしまうと言うもったいなさ。
ドラクエ人生論と向き合ってみて、これまでの人生や現在の状況が、一体何をやっているのか、改めて理解し、位置づけてみると、毎日がもっとワクワクするのではないか、と思いました。
ドラクエ人生論になぞらえて、アメリカ生活などを振り返ってみたいと思いますが、また別のポストにまとめます。
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