厚生労働省が2024年2月27日に発表した、2023年の出生数は75万8631人(速報値)で、前年比5.1%減となりました。結果的に、2023年、日本の人口は83万1872人減少したことになります。
日本の人口は2008年の1億2808万人がピークで、そこから人口減少が進んでいます。今回の2023年の統計は、その人口減少のペースが、出生数の下振れで、予想以上のスピードになっていると考えられます。
出生数減少のペースは予想より大幅に早い
出生数は2016年に100万人を割り、7年で25%減。
国立社会保障・人口問題研究所(社人研)は、出生数75万人に減少するのは2035年と見込んでいたことから、10年以上速いペースで少子化が進行していると言えます。
現状のペースでの減少が続けば、出生数50万人割れは2035年にも訪れることが見込まれています。
こちらの図版は、厚生労働省の令和2年(2020年)版厚生労働白書に掲載されていた出生数、合計特殊出生率の推移。この中で、2040年の出生数の推計は74万人、合計特殊出生率は1.43を仮定しており、元のデータは平成29年の社人研のものを用いています。
社人研の予測は、年を追うごとに、実勢を反映して、出生率低下のペースが加速することが織り込まれるようになってきました。しかしそれでも、推計より5〜10年速いペースでの出生率低下が進行していると見ることができます。
社会保障をはじめとする国の様々な長期計画に役立てられていることから、現在、そして10年後に生じる大きなギャップは、大きな問題を引き起こすことになりそうです。
人口動態で注目すべきは婚姻数減少の加速
今回の統計で、目立っているのが、出生数以上に大きな減少となっている婚姻数。2023年の婚姻数は48万9281組で、5.9%の減少となっています。婚姻数50万組割れは、統計上90年ぶりでした。
婚姻数減少のトレンドは新型コロナウイルスのパンデミックとの関連もイメージできます。しかし日本総研は2022年6月のレポートで、婚姻数急減について言及しており、その傾向はパンデミック前から出ていたと指摘しています。
2001~18年の減少ペースは年率1.8%であったが、18~21年は5.5%に加速(図表1)。19年に婚姻数が増えたのは、5月の「令和婚」の影響。
さらに、2015年から、男女ともに一生結婚の意向がない人の割合が上昇し始めており、「晩婚化」の次の流れとしての「非婚化」は予見されていた、と指摘しています。
この非婚化については、別途、取材しているデータがあるので、ご紹介したいと思います。
米国も2080年が人口のピークに
先進7カ国の中で人口が2番目に多いのは、引き続き日本です。
3位はドイツですが、ドイツ意向の順位の国は1億人に届かない人口の国々となります。ただし、早秋の各国も出生率の低下がニュースになっており、遅かれ速かれ人口減少の局面になると予測されます。
一方移民の国としても発展し、1位の米国は3億3000万人以上の人口を抱え、世界の経済の中心、政治の中心を要する大国です。その米国にも、人口減少の予測が出始めた点は、新しいトピックかもしれません。
2023年11月に米国の統計当局は、2080年の3億7000万人をピークに、米国の人口が減少に転じるという予測を発表しました。世界的な少子化の流れが、移民の国にも影響を及ぼす可能性を示唆するものです。
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