5G普及、2024年に20億契約到達も、まだまだこれから – 通信高速化とiPhone、そして多重化メタファーの雑談

5G is still in the early stage of its lifecycle Tech
5G is still in the early stage of its lifecycle - Statista
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世界の携帯電話通信について、5G契約者数は2024年に20億契約に達するそうです。

Ericsson Mobility Reportは、各携帯通信の「世代」の契約についてのグローバルな調査結果を公表しています。4Gは、2012年に普及が始まり、2015年に3Gを追い抜いて、2021年に50億契約とピークに達しました。

4Gは2021年から下降し始め、変わって2019年から成長が始まった5Gに移行し始めています。今後普及が続けば、4Gと5Gは2027年から2028年頃に同数になり、以降5G中心の普及で、4G以上の契約数に成長していくことが予測されています。

Infographic: 5G Is Still in the Early Stages of Its Lifecycle
This chart shows a forecast of 5G subscriptions worldwide.

そもそも、3G、4G、5Gって?

ここで、3G、4G、5Gの「G」って何?という話です。

まず基本的な考え方として、携帯電話通信は、通話と電話番号を用いたショートメッセージ(TextやSMS)から始まり、データ通信に対応。利用者数の増加とデータ通信の高速化に対応すべく、技術が進化する中で、その大きな進化を世代(Generation、G)で分けています。

世代ごとに代表的な通信技術があります。

ケータイをデータ活用中心へと移行させた3G

3Gは、W-CDMA(海外ではUTMSなど)やCDMA2000という通信方式が日本で導入されていました。進化の過程で、それぞれHSDPAやEV-DOといったデータ高速化の技術を用いて、2Mbps、7.2Mbps、14.4Mbps、21Mbpsと、次々に高速化していきます。

日本では人口密度の高さ、国土の狭さ、有力な3社の通信会社のせめぎ合い、モバイル活用の進展から、3G技術を核とした発展が続きます。Super 3Gとか、3.5Gとか、3.9Gと言われていたLTE。これはVSF-Spread OFDM(可変拡散率-直交周波数・符号分割多重方式)などを取り入れ、3Gから4Gへとスムーズに移行していこうというアイデア。

LTE(Long Term Evolution)という名前で、日本のドコモを中心に国際標準化を進めていました。

デスクトップからスマホへ、ネット利用を転換させた4G

その4Gについては、LTE-AdvancedとWiMAX2が国際規格として承認されました。通信速度は50Mbpsから1Gbpsを目指して進化しようというものです。

ただし米国では、ちょうど2010年から2012年にかけて、3G技術の発展形であるHSPA+やLTEも、「4G」としてマーケティングされており、ITUはこれを追認する形となっていました。

純粋な4Gにこだわってきた日本の通信キャリア、特にドコモは、4Gをマーケティングに活用するのが遅れた印象…。でも、実際に米国で生活していると、日本のスーパー3G、LTEは、米国で言う4Gよりも10倍ぐらい速かったのです。

そして発展途上の5G

5GはITU(国際電気通信連合)によると、

  • 高速大容量 (eMBB:Enhanced Mobile Broadband)
  • 低遅延 (URLLC:Ultra Reliable Low Latency Communications)
  • 多数同時接続 (mMTC:Massive Machine Type Communications)

という3つの要素が定義されています。

通信速度は、日本でのドコモで、下り最大3.4Gbps・上り286Mbps。ミリ波といわれる28GHz帯域を用いると、4.9Gbpsを叩き出すまでに高速化されています。

しかし実際にそのドコモ回線を使ってみると、4Gですら500Mbps級の速度を安定して叩き出す一方で、5G接続は非常に不安定で、『パケ詰まり』を起こしていることから、私は依然としてiPhone上の設定は「4G」(5Gオフ)の状態で安定通信を確保しています。

iPhoneとモバイル通信の世代

初代iPhoneは日本で通信できなかった

Original iPhone in New York City, 2007

iPhoneは、2007年に登場した初代モデルは2G(GSM)にしか対応していませんでいた。このGSMは、欧米と日本で異なる通信規格を使っていたため、米国で発売されたiPhoneを日本に持ってきても通信できない状況でした。

2007年9月にNew York Cityへ行き、通信サービスが利用できる状態の初代iPhoneを使って来た時の写真。

iPhone 3Gで日本でも対応したが…

iPhone 3G White

2008年に登場したiPhone 3G、2009年に登場したiPhone 3GSは、その名の通り、W-CDMAの3Gに対応しており、米国のAT&Tとともに、日本ではソフトバンクが独占して販売しました。ちなみに同じく3GでW-CDMAを採用していたドコモでは、iPhoneを脱獄してSIMロック解除するすれば、使用することができました。

しかしCDMA2000を採用し、3Gの通信規格が異なるau(KDDI)では使えませんでした。同じ理由でCDMA2000を採用する米国最大手となる通信会社のVerizon Wirelessでも、iPhone 3Gシリーズは使用できませんでした。

iPhone 4SにCDMAモデルが登場

iiPhone 4S (CDMA) in US

この状況が変わるのが2011年に登場するiPhone 4Sです。AppleはCDMAモデルを登場させました。これによって、CDMA2000を採用していたVerizon WirelessやKDDIでも、iPhoneの取り扱いがスタートしました。

ちなみに、2011年11月に米国に引っ越した私は、渡米後3日目にBerkeleyにあるApple 4th Streetで、Verizon(CDMA)の白いiPhone 4Sを手に入れてました。

米国に引っ越すことが分かっており、当時は日本の端末を米国に持って行っても利用できなかったため、iPhone 4Sを日本で買わずに我慢していたんです。

iPhone 5はエポックメイキングなデバイスだった

iPhone 5 and iPad mini.

2012年に発売されたiPhone 5。画面サイズが4インチに拡大したのもさることながら、iPhoneとして初めて4G LTEに対応した点がニュースでした。むしろ、米国にいた自分にとって、LTE対応の方がインパクトが大きかったです。

当時米国のアパートでは、ケーブルテレビのインターネット(Comcast / Xfinity)を契約していて、下りの調子が良い時で25Mbps程度でした。そこに来て4G LTEに対応したiPhone 5の通信速度は、下り75Mbps!(VerizonからT-Mobileにナンバーポータビリティしたのでした)

日本では経験し得なかった、デスクトップとモバイルの通信速度の逆転です。この瞬間、ネット活用がデスクトップからモバイル主体に移り、写真や動画といったコンテンツを送り合ったり(InstagramやYouTube)、より遅延にシビアな位置情報系のマッチングアプリ(Uberなどのライドシェア)が「使い物になる」という状況が整いました。

コロナ禍のiPhone 12シリーズ立ち上げ

iPhone 12 mini.

新型コロナウイルスの影響であらゆる物事がストップしたり、遅延を来した2020年。普段の9月から遅れてリリースされたiPhone 12シリーズで、AppleはiPhoneを5Gに対応させました。

とはいえ、外に出られない状況が続いていたため、5Gがどれだけ快適になっているのか、なかなか経験することができなかったかもしれません。

日本では前述の通り、4Gの充実ぶりもあって、ドコモユーザーにとって5G対応へのインパクトはそこまで大きくなかったかも知れません。しかしソフトバンクやKDDIの回線では、100Mbps〜300Mbpsの下り速度が利用できるエリアが拡がり、動画やゲームのダウンロードをWi-Fiに頼らずガンガン行える変化は体験できたのではないでしょうか。

米国・シリコンバレーに出張すると、5G通信で300Mbps〜500Mbpsをガンガン叩き出します。基本的には人が住んでいるエリアしかいかないので、ちょっと内陸に入った果樹園地帯ではこんな速度は出ないでしょうし、州立公園、国立公園に足を踏み入れれば、途端に衛星通信のお世話になる電波の届かないエリアになってしまう状況は同じです。

日本と海外で、5Gに対する期待や効果が異なっている点は、意外な事実であり、印象的なポイントと言えます。

通信の高速化のメタファーは、アイデアに使える

かなり面白く深い多重化の世界

余談ですが、通信の高速化技術で、様々な略称が出てきています。このなかで、「D」と「MA」がつく略称が多いな、とお気づきでしょうか。CDMAや、TDMA、OFDMなど…。他には「DS」とか「MIMO」とか。

実はこのメタファーは、アイデアを考える際に活用しやすいのです。

電波は多重化して効率的に使う

まず前提として、電波の帯域は高い周波数になればなるほど、幅広く確保できる反面、減衰しやすい性質があります。ミリ波で28GHzという帯域を使いますが、壁はおろか、人などでも遮蔽されてしまうほどです。

そのため、「プラチナバンド」なんて言う言葉もニュースで流れてご存じかも知れませんが、800MHz帯域、1.5MHz帯域、2GHz帯域あたりが、遠くあるいは建物の中まで届きやすい電波として貴重。しかし混み入ったところでガツンと高速化したいということで、5GではSub-6帯(3.6~4.6GHz)も用います。

電波は目には見えませんが、共有の資源・財産であるため、いかに効率的に扱うかが重要になるのです。その方法の一つが、多重化です。

「D」は分割の意味

通信の高速化技術で、「D」は分割(Division)、「M」は多重化(Multiplexing)を意味することが多いです。「DM」と続くと、「分割して多重化する」という意味合いになります。

時間で分割

Time division Multiplexing

一番分かりやすいのが「TDM」。「T」はTimeで、時分割多重化となります。1本の電波を時間で細かく刻み、ABCABCABCという具合で並べて送ることで、3つの情報を載せる方法です。

周波数や光の波長で分割

Frequency division multiplexing

次に「FDM」。

「F」はFrequencyで、周波数分割多重化です。周波数帯を複数のチャンネルに分けて、異なる通信を行う方法で、Wi-Fiにも用いられています。また光ファイバーは、周波数を光の波長と読み替えて、波長分割多重(WDM)で通信しています。

符号で分割

Code division multiplexing

よく出てくるのが「CDM」。

「C」はCodeで、Code Division Multiplexing、符号分割多重化となります。これを用いた通信方式が、CDMA(Code Division Multiple Access)などです。

データに特殊な符号を割り当て、送信者と受信者で共通の符号を演算(エンコードとデコード)することで、周波数帯一杯に混在・拡散して送られてくる情報の中から、必要なものを取り出す仕組みです。

ドコモでFOMA(W-CDMA)が出始めた頃、高速通信ができるが電池が持たない、という体験をしていますが、通信のためにエンコードとデコードをする、つまりチップで演算し続けなければならず、省電力化が先行しなかったのでしょう。

同じ符号を握って、周波数一杯にスペクトラム拡散しながら送受信を行うため、他の方式に比べて、通信の秘匿性は高まります。符号が分からなければ、情報を取り出せないためです。

このスペクトラム拡散は、1940年代に連合国軍が用いた歴史に遡り、CDMAは1970年代に米軍が用いていた通信技術が基礎となっています。またGPS信号にも採用されています。

位相を直行させて分割した上で時分割??

Orthogonal frequency-division multiplexing

そしてLTE、5G、Wi-Fi 6等で重要となる更なる多重化が、OFDM (Orthogonal Frequency Division Multiplexing)、 直交周波数分割多元接続。これは図で示されても、何をやっているのかよく分からないというパターンなのですが…。

電波の波の向き(位相)をずらすことで、周波数を接近させても干渉し合わない搬送波(サブキャリア)を作り出すことができ、ここにそれぞれ別々の情報を流すことで多重化する仕組みです。1ビットでずらしたら2本、2ビットでずらしたら4本、と増えていき、8本、16本、64本、256本と、サブキャリアが増えていきます。

その上で、LTEや5Gでは、これらのサブキャリアを時分割で管理し、干渉波の影響を排除しながら時間管理によって更なる多重化。また高速化のために、OFDMで分割したサブキャリアを複数本束ねて通信することで、2倍、4倍の帯域幅を稼ぐ。こんなことが行われています。

多重化を組み合わせて高速化している

面白いことは、多重化は必ずしも1種類しか活用できない、というわけではない点です。

最後の例はOFDMとTDMを組み合わせていますし、中国の3G通信は、時分割と符号分割を組み合わせた「TD-CDMA」が採用されていました。

一つの問題に対して、複数の解決策を発見し、これを段階的に組み合わせてさらに効果を高めていく。そんなアイデアを考える時に、この多重化のメタファーはとても参考になると思い、ざっくりとではありますがまとめてみました。

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